育児の時短勤務とは?利用条件と給料・残業代・ボーナスを解説
育休復職にあたり「時短勤務はいつまで使えて、給料やボーナスはいくら減るのか」と悩む方は多いでしょう。
時短勤務中の給料やボーナスの計算方法は会社により異なり、給付金を受け取れる場合もあります。
本記事では、時短勤務の利用条件や給料・ボーナスへの影響、復職前に知っておくべきポイントを解説します。
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※2026年8月10日時点の情報です
育児の時短勤務とは?対象者と利用条件

育児のための短時間勤務制度は、育児・介護休業法に基づく制度です。会社は、3歳に満たない子どもを育てる労働者に対して、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む制度を設けなければなりません。
「原則6時間」は、必ず全員が6時間勤務になるという意味ではありません。会社が複数の勤務時間を用意している場合や、本人と会社の合意により別の時間を選べる場合もあります。利用できる勤務時間、休憩時間、申出期限は、勤務先の規程で確認してください。
法律上の対象にならない人
3歳未満の子どもを育てていても、次のいずれかに当てはまる場合は、法律上の短時間勤務制度の対象になりません。
- 日々雇用される人
- もともとの1日の所定労働時間が6時間以下の人
- 制度を利用する期間に育児休業(産後パパ育休を含む)をしている人
また、会社が労使協定を結んでいる場合は、次の人を対象外にできることがあります。
- 継続雇用期間が1年未満の人
- 1週間の所定労働日数が2日以下の人
- 業務の性質などから、短時間勤務制度を設けることが難しい業務に就いている人
業務上の理由で短時間勤務が難しい人を労使協定で対象外とする場合、会社は育児休業に準じる措置、フレックスタイム、時差出勤、保育施設の設置・運営、テレワークなどのうち、少なくとも1つの代替措置を用意する必要があります。
「対象外と言われた」「代替措置を案内されない」といった場合は、時短勤務を拒否されたときの対応を解説する記事も確認してください。
法律で義務づけられた制度と、会社独自の制度は分けて確認する
時短勤務について調べると、「3歳まで」「小学校入学まで」「小学校卒業まで」など、さまざまな説明が見つかります。これは、法律上の最低ラインと、会社が独自に設ける制度が混在しているためです。
| 確認する制度 | 主な内容 |
|---|---|
| 法律上の短時間勤務制度 | 一定の要件を満たす、3歳未満の子どもを育てる労働者が対象 |
| 3歳以降の柔軟な働き方 | 会社が5つの措置から2つ以上を用意し、労働者はその中から1つを選ぶ。会社が短時間勤務を選ばない場合もある |
| 会社独自の時短勤務制度 | 小学校入学・卒業までなど、法律を上回る対象年齢や利用条件を定めることがある |
2025年10月から、会社は3歳から小学校就学前までの子どもを育てる労働者に対し、始業時刻の変更、テレワーク、養育両立支援休暇、短時間勤務など5つの選択肢から2つ以上の措置を用意する必要があります。ただし、すべての会社に「3歳以降も時短勤務を続けさせる義務」があるわけではありません。
何歳まで利用できるかを詳しく知りたい方は、年齢上限の代表記事である時短勤務は何歳まで?法律と会社制度の違いをご覧ください。
時短勤務で給料はいくら減る?

時短勤務中の給料をどのように計算するかは、法律で一律に決められていません。実際の支給額は、会社の賃金規程や労働条件通知書で決まります。
たとえば、月給24万円で8時間勤務から6時間勤務になり、基本給を勤務時間に応じて単純に按分する会社であれば、概算は次のとおりです。
24万円 × 6時間 ÷ 8時間 = 18万円
ただし、これはあくまで単純な試算です。基本給は按分しても、通勤手当は変わらない会社もあります。反対に、役職手当や固定残業代などの扱いが変わり、単純な6/8より減額幅が大きくなる場合もあります。
復職前には、少なくとも次の項目を分けて確認しましょう。
| 給与項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 基本給 | 勤務時間に応じて按分されるか |
| 役職・職務手当 | 時短勤務後も同額か、職務変更に伴い変わるか |
| 固定残業代 | 支給の有無、対象時間数、超過分の扱い |
| 通勤・住宅などの手当 | 時短勤務により支給条件が変わるか |
| 賞与 | 算定基礎、査定期間、時短勤務・育休期間の扱い |
概算を早く知りたい方は、時短勤務の給与シミュレーターも利用できます。シミュレーターの金額は目安であり、税金・社会保険料や各社の給与規程は反映されない点に注意してください。
2歳未満なら育児時短就業給付金を受け取れることがある

2歳未満の子どもを育てるために所定労働時間を短縮し、賃金が下がるなど一定の要件を満たす雇用保険の被保険者は、育児時短就業給付金を受け取れる可能性があります。
支給額は原則として、時短勤務中の各月に支払われた賃金の10%です。ただし、賃金と給付金の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、賃金の低下率に応じて給付率が調整されます。賃金が下がっていない場合や、支給限度額などに該当する場合は支給されません。
たとえば、育児時短就業開始時の賃金月額が30万円、時短勤務中の賃金が20万円で、ほかの支給要件を満たす場合、原則の計算では次のようになります。
20万円 × 10% = 2万円
手続きは通常、勤務先を通じて行います。復職前後に、人事・労務担当者へ次の3点を確認しておくと安心です。
- 自分が支給対象になるか
- 申請は会社と本人のどちらが、いつ行うか
- 申請に必要な書類は何か
制度の細かな要件や上限額は改定されることがあるため、最新情報は厚生労働省の「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」で確認してください。
時短勤務後の社会保険料と将来の年金はどうなる?

時短勤務で給料が下がっても、健康保険料と厚生年金保険料が同じ月からすぐに下がるとは限りません。社会保険料は「標準報酬月額」を基に計算されるためです。
3歳未満の子どもを育てているなど一定の条件を満たす場合、本人の申出を受けた会社が「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出すると、育休終了後3カ月の報酬平均を基に、4カ月目から標準報酬月額を改定できることがあります。通常の随時改定に当てはまらなくても申請できる特例です。
標準報酬月額が下がると、将来の厚生年金額まで減るのではないかと心配になる方もいるでしょう。3歳未満の子どもの養育中には、申出により、養育前のより高い標準報酬月額を使って将来の年金額を計算できる「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」があります。
この2つは目的が異なり、自動的に適用されるとは限りません。人事・労務担当者へ、次の届出が必要かを確認してください。
- 育児休業等終了時報酬月額変更届
- 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
なお、住民税は前年の所得を基に計算されます。育休中の収入や復職時期によって金額が変わるため、「復職1年目は住民税が必ずゼロになる」とは限りません。前年の源泉徴収票や自治体の税額通知も確認して、手取りを見積もりましょう。
参考:年金Q&A (短時間労働者)|日本年金機構、育児休業等終了時報酬月額変更届の提出|日本年金機構、養育期間が終了したときの手続き|日本年金機構
時短勤務でも残業代は支払われる?

時短勤務でも、所定労働時間を超えて働いた分の賃金は支払われます。ただし、「所定労働時間を超えたか」と「法定労働時間を超えたか」で、割増賃金の扱いが変わります。
たとえば、1日の所定労働時間が6時間の人が7時間働いた場合、6時間を超えた1時間分の賃金は必要です。
ただし、1日8時間・週40時間の法定労働時間内であれば、法律上の時間外割増が付かない場合があります。
1日8時間または週40時間を超える法定時間外労働には、原則25%以上の割増賃金が必要です。
変形労働時間制などを採用している会社では判定方法が異なるため、勤務先の制度を確認してください。
固定残業代は自動的になくなるとは限らない
固定残業代の扱いは、労働契約や賃金規程、固定残業代が何時間分として設計されているかによって異なります。「時短勤務になったから必ず全額カット」「残業をしないから支払い不要」と一律には判断できません。
時短勤務への変更時には、次の内容が契約書面でどう変わるか確認しましょう。
- 固定残業代の金額と対象時間数
- 対象時間を超えたときの追加支給
- 基本給と固定残業代の内訳
- 時短勤務中の残業の指示・承認ルール
また、時短勤務制度と「残業免除」は別の制度です。残業が難しい場合は、短時間勤務を申し出るだけでなく、所定外労働の制限についても会社へ確認してください。
参考:法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省
時短勤務をするとボーナスは減る?

ボーナスの支給有無や計算方法は、法律で一律に決まっていません。会社の賞与規程、算定基礎、査定期間によって異なります。そのため、「時短勤務なら必ず6/8になる」「育休復帰直後は必ず支給されない」とは言い切れません。
会社によって、主に次のような違いがあります。
- 時短後の基本給を基に賞与額を算定する
- 査定期間中の勤務日数や勤務時間を反映する
- 育休期間と時短勤務期間を別のルールで扱う
- 業績評価や等級を含めて算定する
短縮した勤務時間に相当する部分を給与や賞与の算定に反映することと、時短勤務を利用したこと自体を理由に不利益な扱いをすることは同じではありません。育児の短時間勤務制度の申出・利用を理由とする解雇や不利益な取扱いは禁止されています。
ボーナスの見込み額を知りたいときは、「時短勤務だと何割になりますか」だけではなく、次のように具体的に質問すると確認しやすくなります。
・次回賞与の査定期間はいつからいつまでですか。
・育休期間と時短勤務期間は、それぞれどのように算定されますか。
・算定の基礎になるのは、時短前と時短後のどちらの基本給ですか。
回答は口頭だけでなく、可能であれば就業規則・賃金規程・賞与規程や労働条件通知書でも確認しておきましょう。
参考:妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱い|厚生労働省
復職前に会社へ確認したい7項目

制度が使えるかどうかだけでなく、毎日の生活と手取りまで具体的に想像できる状態にしておくと、復職後の「思っていたのと違った」を減らせます。
- 時短勤務を利用できる条件と終了日
- 選べる始業・終業時刻と休憩時間
- 基本給・各種手当・固定残業代の変更
- 賞与の査定期間と計算方法
- 時短勤務中の残業ルールと残業免除の申出方法
- 育児時短就業給付金の申請方法
- 社会保険料の改定と養育期間のみなし措置の手続き
希望する退勤時刻から逆算して、保育園のお迎え、通勤、急な呼び出しへの対応も確認しましょう。「16時退勤なら間に合う」ではなく、引き継ぎや退勤後の移動時間まで含めて考えることが大切です。
時短勤務が終わる・利用できないときの選択肢

会社の制度が希望と合わない場合も、すぐに退職を決める必要はありません。まずは、フレックスタイム、時差出勤、テレワーク、残業免除などを組み合わせられないか相談してみましょう。
子どもが3歳になるタイミングが不安な方は、「3歳の壁」の対策を確認してください。
勤務先に時短勤務の延長制度がある、または個別に交渉したい方は、時短勤務を小学校卒業まで延長できる会社と交渉のポイントも参考になります。
現在の会社では必要な働き方を実現しにくいとわかったときは、転職も選択肢の一つです。ただし、転職先で入社直後から時短勤務を利用できるか、給与や評価制度がどうなるかは会社ごとに異なります。求人票だけで判断せず、選考中に条件を具体化しておくことが欠かせません。
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まとめ:時短勤務は「利用条件」と「お金」を分けて確認しよう
育児の短時間勤務制度は、一定の条件を満たす3歳未満の子どもを育てる労働者が対象で、会社は1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む制度を用意する必要があります。
ただし、給料・固定残業代・ボーナスの計算方法は会社ごとに異なります。2歳未満の子どもを育てている場合は育児時短就業給付金、3歳未満の場合は社会保険料の改定や将来の年金額を守るための手続きも確認しましょう。
復職前に必要な情報を一つずつ確認すれば、時短勤務後の生活と家計を具体的に組み立てやすくなります。まずは就業規則と給与規程を確認し、不明点を人事・労務担当者へ相談してみてください。





