多くの企業では、時短勤務を取得できる期間に制限を設けていることをご存知でしょうか。
特に育休明けに子育てを理由として時短勤務を取得する場合、子どもの年齢に合わせて時短勤務の期限が切れてしまうことが多いです。
今回は、時短勤務は子どもが何歳になるまで続けられるか解説します。
結論からお伝えすると、時短勤務は子どもが3歳・小1・小4になるいずれかの年で期限が切れてしまう会社が多いです。
育児介護休業法では、3歳に満たない子どもを養育する労働者から希望があった場合、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮できる制度を適用しなければならないと定められています。
そのため、どの企業であっても子どもが3歳になるまでは最低でも時短勤務を取得することが可能です。
なかには独自の取り組みとして小1・小4まで時短勤務できる期間を長めに設けている会社も存在しますが、まだまだ割合は低いままです。
最も多いのは子どもが3歳までの時短勤務を認めている会社であり、全体の37%を占めています。(※)
「小学校就学前まで」としている会社が27%、「小学校就学以降」としている会社が14%ありますが、ほとんどの場合は小4までになっていることを理解しておきましょう。
(※)参考:厚生労働省「事業所調査 育児・介護休業制度等に関する事項」
子どもが3歳になるまでしか時短勤務できない場合、3歳になってすぐフルタイムに戻す必要があります。
その場合に生じる問題点を下記にまとめていますので、チェックしてみましょう。
通勤時間次第では、保育園のお迎えに間に合わなくなる可能性があります。
多くの保育園では閉園を18時もしくは19時と定めており、保護者はどんなに遅くとも閉園までに子どもを迎えに行く必要があります。
もし定時が9時から18時までであれば、残業なしですぐお迎えに向かったとしても閉園ギリギリになることが多いでしょう。
業務の進み具合や交通網の遅れ次第では時間に間に合わず、保育園に多大な迷惑をかけてしまう可能性が考えられます。
なかには定時が10時19時という会社もあり、フルタイムでは物理的に働けないということも考えられます。
今の会社でフルタイム就労した場合、余裕をもってお迎えに行けるかシミュレーションしておくことが大切です。
フルタイムにしてお迎えの時間が遅くなると、その分夕食や入浴の時間も後ろ倒しになり、子どもの睡眠時間が削られます。
朝も早めに出勤する可能性があることを考えると、送りを早めに済ますため起床時間が前倒しになることも含めて検討しておく必要があります。
上記のグラフは、年齢別の平均睡眠時間を表しています。
未就学児のうちは10~11時間の睡眠を確保している家庭が多く、それ以下になると睡眠不足が不安視されます。
最低限必要な睡眠時間を確保できるかも、十分検討しておく必要がありそうです。
未就学児のうちは、着替えの枚数に合わせて洗濯を増やしたりおねしょの処理をしたり、家事が多くなりがちです。
遅い時間に帰宅して子どもを急いで寝かしつけたとしても、親自身が疲れきっていてなかなか家事に手が回らなくなることもあるでしょう。
もちろん時短家電や家事代行を使って賢く家事をやりくりすることもできますが、「自分で家事ができないこと」自体をストレスに感じてしまう人は多いものです。
家事と育児と仕事との間で板挟みにならないよう対策する必要があること、時には家事を放置することも出てくることを覚悟しておきましょう。
幸いにも3歳を超えて時短勤務できる場合でも、小1のタイミングまでとされているケースも多いです。
小1はちょうど小学校入学のタイミングに被るので、思わぬ落とし穴があるかもしれません。
ここでは、小1までしか時短勤務できない場合の問題点を紹介します。
いわゆる「小1の壁」については、下記の記事でも解説しているので参考にしてみましょう。
>>関連記事:【体験談あり】小1の壁とは?乗り越える4つの解決策
小学生になると毎日宿題が出されますが、入学してすぐ全て自分で解決できる子は少ないです。
始めのうちは親が連絡帳をチェックし、今日の宿題を確認して一緒に進めていく必要があると思っておきましょう。
ある程度ひとりでできるようになってからも親の丸付けや音読チェックを求める宿題は意外と多く、完全に手が離せるようになるのはまだまだ先のことです。
また、翌日の時間割をチェックして教科書やノートを揃えたり、鉛筆・消しゴムなどの文房具に欠けがないかチェックしたりすることも大切です。
フルタイムで働く場合なかなか勉強面をサポートする時間が取れず、子どもにもどかしさを感じさせてしまうこともあるので十分な配慮が欠かせません。
小学生になると保育園がなくなるので、夏休み中も含めて毎日学童を利用する必要があります。
子ども本人が学童を楽しんでくれていれば問題ないものの、なかには「仲のいい子はみんな学童に行っていないのになんで自分だけ?」「せっかくの夏休みなんだから親や友達と遊びに行きたい」と感じる子もいるでしょう。
保育園以上に多様化する集団生活のなかで自分の家庭環境に気づき、フラストレーションを抱える子も多いのです。
また、毎日お弁当を作る親側の負担も大きく、送迎や閉所時間に気をつけて働くストレスはこれまで通りのしかかります。
習い事を入れて適度にリフレッシュさせたり、親の力を借りてお出かけの機会を作ったりすることもできますが、毎日可能とは限りません。
子どもの精神面もしっかりケアできるよう、方法を見つけておく必要がありそうです。
学童の閉所時間は、地域や利用先の学童によりさまざまです。
保育園と同じく19時頃まで預かってくれる民間学童もあれば、学校併設の学童であれば17時頃閉まってしまうこともあるので注意が必要です。
閉所時間次第では、学童が終わってからひとりで自宅に帰る鍵っ子生活になる可能性があります。
学童後に集団下校を利用できるか、小1から鍵っ子生活ができるか、万が一の怪我・事故・火事などが起きたとき近隣に頼れる人がいるかなどシミュレーションをしておきましょう。
なかには「小1から鍵っ子生活は不安が大きい」として、フルタイム就労を諦める保護者もいます。
小4になると宿題や翌日の授業準備など最低限のことはひとりでできる子が増えるので、時短勤務からフルタイムに切り替えても問題ないと感じる人が多いでしょう。
自分でお風呂に入ったり寝たりできる子も多く、「子どもの世話をする」という意味では各段に楽になっていきます。
しかし、小4には小4の悩みがつきものです。下記で小4までしか時短勤務できない場合の問題点に触れていきます。
いわゆる「小4の壁」については、下記の記事でも解説しているので参考にしてみましょう。
>>関連記事:【体験談あり】小4の壁とは?乗り越える4つの解決策
小4は、中学受験対策が本格化する時期でもあります。
有名かつ偏差値の高い一貫校を希望する家庭や都心であれば小3から受験勉強に入るケースも多く、「中学受験を希望するなら遅くとも小4からの対策が必須」と考えるのが一般的です。
塾のコマ数や夏期講習などの季節講習が増える学年でもあり、3~4年間の長期的なマラソンが始まることを親子ともに覚悟しなくてはいけません。
とはいえまだ遊びたい盛りの小学生が、数年後の将来を見据えて勉強一本で努力していくのは至難の業です。
親が学校や塾と上手に連携し、宿題・モチベーション・メンタルを細かくサポートしながら伴走し続ける必要があるので、相当の時間が割かれます。
時短勤務できずフルタイムになると勉強の進捗がわからなくなり、本人任せの受験になって失敗してしまうこともあるので注意が必要です。
2015年に制度が変わったことで小学校卒業まで学童を利用できるようになったものの、受け入れ態勢が整っていない学童は未だに多いのが現状です。
低学年の児童を優先するため受け入れ対象を小3までとしている学童は多く、それ以降の児童は放課後クラブや地域のボランティアに任せられることもあります。
その場合、閉所時間が早まるなどこれまで通りの預け先として利用できなくなる可能性もあるのです。
学童を卒業しなければいけない地域では、その後の預け先をどう確保するか早めに検討しておくことが大切です。
民間学童など人気の高い預け先は、相当早い段階でいっぱいになってしまうこともあるので要注意です。
小4頃から反抗期が始まる子が多く、親の言うことに素直に耳を傾けなくなることが想定されます。
学校で問題行動を起こして呼び出されたり、友達同士のトラブルに巻き込まれて保護者同士の調整が必要になったりすることもあるでしょう。
このタイミングで時短勤務からフルタイムに変わってしまうと子どもの精神面をサポートしづらくなり、より親子間の溝が深まりかねません。
反抗期は個人差が多く、予測が難しいものです。
どんなに忙しくても、いざというときはすぐに子どもの声に耳を貸せる体制を作ることが大切です。
小4になると習い事をする子が増え、「自分も習い事をしたい!」と言われる可能性があります。
なかには送り迎えが必須な習い事もあるので、フルタイムでも無理なく習い事に送り出せるか検討しておきましょう。
すでに習い事を始めている場合、フルタイムに切り替えてもコースや曜日を変更しなくてよいか考える必要があります。
場合によっては同じコースの友達と離れてしまうこともあるので、子どもの理解を得られるか、慎重に判断していくことが欠かせません。
小4頃になると、友達同士で約束して放課後に遊ぶことが増えるなど友達付き合いが加速します。
社会性を広げる貴重なきっかけになる一方、些細な出来事でいじめや家庭間トラブルになってしまうこともあるので目が離せません。
なかには、親が帰宅するまで鍵っ子家庭に多くの同級生が出入りするなど、地域の目が届かない場所でトラブルになってしまうこともあるようです。
子どもの年齢を問わず長期的に時短勤務したいなら、時短正社員への転職を検討しましょう。
時短正社員は、一時的に時短勤務を許可されているフルタイム前提の正社員と異なり、最初から時短勤務を前提に採用される正社員のことを指します。
時短勤務できる期間に制限がなく、子どもが中高生になっても時短勤務することも可能です。
子どもが3歳以降も時短勤務したい保護者や、部活・スポーツクラブ・習い事・受験のサポートをしたい保護者であれば、時短正社員を目指してもよいでしょう。
また、リモートワークやフレックスタイム制度を活用できる会社に転職するのもおすすめです。
リモートワークであれば自宅で働けるので、最低限子どもの目の届く範囲にいることができます。
フレックスタイム制度であれば学童や習い事のお迎えに合わせて曜日ごとに勤務時間を変更しやすく、ワークライフバランスを重視しやすくなります。
3歳以降も時短勤務を続けたいときの方法については、下記の記事でも解説しているので参考にしてみましょう。
>>関連記事:いつまで時短勤務できる?時短勤務できなくなったときの問題点は?
時短勤務は、子どもが3歳になるまでと定めている会社が多いです。
長くても小1もしくは小4で時短勤務できなくなってしまい、家庭と両立しづらくなってしまう可能性があることを知っておきましょう。
早めに就労環境を整えたい人は、時短正社員への転職をおすすめします。
リアルミーキャリアでは時短勤務でも正社員で働きたい人向けに転職サービスを展開しているので、今後の働き方に不安がある場合はお気軽にご相談ください。