育休から復帰したくないときは?復職・転職・休職・退職など5つの選択肢
「子どもと離れたくない」「仕事と育児を両立できる自信がない」と、育休から仕事へ復帰したくない気持ちを抱えている方もいるでしょう。
復帰したくないと感じても、すぐに退職を決める必要はありません。まずは気持ちの背景を整理し、現職継続・復職・転職・休職・退職の5つを同じ項目で比べることが必要です。
この記事では、収入や保育園、キャリアへの影響を比較しながら、自分に合う選択肢を判断する手順を解説します。
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育休から復帰したくないときは、すぐに退職を決めなくてよい
育休から復帰したくないときは、退職だけでなく、雇用を続けながら復職条件を調整したり、いったん復職してから今後を判断したりする方法があります。
検討したいのは、次の5つです。
- 現職継続:雇用を維持し、育休延長や復職条件の調整を検討する
- 復職:育休を終了し、現在の会社で勤務を再開する
- 転職:現在の会社を退職し、別の会社で働く
- 休職:会社の休職制度を利用し、雇用を維持したまま仕事を休む
- 退職:現在の会社を辞め、いったん仕事から離れる
選択肢によって、収入、育児休業給付、保育園の利用、キャリアへの影響が異なります。気持ちだけで結論を出さず、会社や自治体に確認すべき条件も含めて比べましょう。
| 収入・給付 | 保育園 | キャリア | 最初に確認すること | |
|---|---|---|---|---|
| 現職継続 | 育休延長中の給付は要件を満たす場合のみ | 入園申込みや延長後の扱いを自治体へ確認 | 雇用を維持できるが、休業期間は長くなる | 延長要件 申請期限 会社の復職支援制度 |
| 復職 | 給与再開。 時短で賃金が下がる場合は給付対象になる可能性がある | 就労時間などの変更届が必要か確認 | 現職で経験を継続しやすい | 時短 残業 在宅勤務 配置 通勤時間 |
| 転職 | 退職日と入社日の間に収入なしの場合がある | 転職時の在園条件や提出期限を自治体へ確認 | 働き方を変えられるが、選考と入社時期の調整が必要 | 入社直後の時短可否 入社日 保育園の条件 |
| 休職 | 給与、期間、復職条件は会社の制度による | 休職理由による扱いを自治体へ確認 | 雇用を維持しながら、体調の回復などに時間を使える | 就業規則 診断書の要否 給与 社会保険 |
| 退職 | 給与・育児休業給付が終了 社会保険などの切替が必要 | 入園内定や在園継続への影響を自治体へ確認 | 離職期間が生じるため、再就職時期の検討が必要 | 生活費 保険・年金 失業給付 保育園 |
保育園の入園・在園条件は自治体によって異なります。退職日や転職先への入社日を決める前に、住んでいる自治体の保育担当窓口へ確認してください。
育休から復帰したくない理由を整理する

復帰したくない理由が違えば、合う選択肢も変わります。「何となく嫌だ」と考えるだけで終わらせず、子どもとの時間、両立、仕事、職場、体調のどこに負担を感じているのかを分けてみましょう。
- 子どもと離れたくない
- 仕事と育児を両立できるか不安
- 以前と同じように働ける自信がない
- 勤務時間や仕事内容、評価に不安がある
- 心や体の調子が整っていない
子どもと離れたくない
育休中に子どもと長い時間を過ごしていると、保育園へ預けて離れることに寂しさを感じる場合があります。入園後の生活を具体的に想像できないことが、不安を強めているかもしれません。
この場合は、退職を決める前に、慣らし保育の期間、送迎の分担、平日に子どもと過ごせる時間を確認します。復職後の1日の流れを書き出すと、漠然とした不安と、実際に調整が必要な問題を分けやすくなります。
仕事と育児を両立できるか不安
復職後は、勤務に加えて保育園の送迎、夕食の準備、子どもの急な発熱への対応が必要です。育休前と同じ勤務時間や業務量では、生活が回らないと感じる方もいるでしょう。
始業・終業時刻だけで判断せず、通勤時間、残業の有無、在宅勤務の利用条件、家族が対応できる曜日まで確認します。時短勤務だけで解決できない場合は、業務量や担当範囲についても会社との相談が必要です。
以前と同じように働ける自信がない
長期間仕事を離れていると、業務の進め方を思い出せるか、職場の変化についていけるか不安になることがあります。
復職初日から育休前と同じ成果を求めるのではなく、引き継ぎ、研修、面談の予定を確認しましょう。復職後1ヶ月、3ヶ月など、段階を分けて業務を戻せるか会社へ相談する方法もあります。
育休復帰後の生活や仕事への不安を詳しく整理したい方は、育休復帰への不安と復帰前にできる準備も参考にしてください。
勤務時間や仕事内容、評価に不安がある
復職後の配置や仕事内容がわからないことも、復帰したくない気持ちにつながります。長時間勤務が評価される職場や、時短勤務者に責任のある仕事を任せない職場では、今後のキャリアを描きにくい場合もあるでしょう。
育児休業の取得を理由とする解雇、減給、降格などの不利益な取扱いは禁止されています。一方で、復職後の配置や業務が育休前とまったく同じになるとは限りません。復職面談では、勤務時間だけでなく、役割、評価基準、担当業務、勤務地を書面で確認しましょう。
参考:妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い|厚生労働省
心や体の調子が整っていない
復職を考えると眠れない、食欲がない、日常生活にも影響するほど気持ちが落ち込む場合は、キャリアの結論を急ぐ前に心身の状態を確認してください。
会社の産業医や相談窓口、医療機関へ相談し、働ける状態かを整理します。休職を検討する場合も、自己判断だけで進めず、会社の制度と医師の判断を確認しましょう。
相談先を探したい方は、厚生労働省の「こころの耳」でも、電話、SNS、メールなどの相談窓口を確認できます。
現職を続けながら復職時期や条件を調整する

今の会社を辞めたいと決まっていない場合は、雇用を維持したまま、育休延長の要件や復職条件を確認する方法があります。ただし、「復帰したくない」という気持ちだけでは、法定の育児休業を延長できません。
育休延長は条件を満たす場合に利用できる
育児休業は原則として子どもが1歳になるまでです。保育所へ入れないなどの特別な事情がある場合は1歳6ヶ月まで、1歳6ヶ月の時点でも同様の事情が続く場合は2歳まで延長できます。
参考:育児休業|厚生労働省
保育所へ入れなかったことを理由に育児休業給付金の支給対象期間を延長する手続きは、2025年4月から変更されています。保育所の申込みが速やかな職場復帰のために行われたと認められることに加え、次の書類が必要です。
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 保育所などの利用申込書の写し
- 自治体が発行した入所保留通知書や入所不承諾通知書など
育児休業の延長と、育児休業給付金の支給期間延長は、確認先と手続きが同じとは限りません。会社、自治体、ハローワークへそれぞれ期限と必要書類を確認してください。
復職条件は勤務時間以外も確認する
育休を延長できない場合でも、復職条件を調整できれば、現職を続けられる可能性があります。会社へ確認したいのは次の項目です。
- 1日の勤務時間と始業・終業時刻
- 残業や休日出勤の有無
- 在宅勤務やフレックスタイム制の利用条件
- 復職後の部署、勤務地、担当業務
- 子どもの発熱時に利用できる休暇
- 復職後の業務量と評価基準
法律上の制度だけでなく、会社が独自に設けている制度もあります。就業規則や育児・介護休業規程を読み、復職面談では利用したい制度を具体的に伝えましょう。
予定どおり復職してから今後を判断する

復職前の不安だけでは実際の働き方を判断しにくい場合は、いったん復職してから、現職を続けるか転職するかを考える方法もあります。
3歳未満の子どもを養育する労働者について、会社は原則として1日の所定労働時間を6時間とする短時間勤務制度を設ける必要があります。ただし、労使協定によって対象外になる労働者や、業務の性質などから短時間勤務が難しい場合の代替措置もあります。
2歳未満の子どものために時短勤務を行い、時短前より賃金が下がるなどの要件を満たす場合は、育児時短就業給付金の対象になる可能性があります。支給額は原則として時短勤務中に支払われた賃金の10%相当ですが、賃金額などによって調整または不支給になる場合があります。
また、3歳から小学校就学前の子どもを養育する労働者に対し、会社は次の5つから2つ以上の措置を用意する必要があります。労働者は会社が用意した措置から1つを選べます。
- 始業時刻などの変更
- テレワークなど
- 保育施設の設置運営など
- 養育両立支援休暇の付与
- 短時間勤務制度
この制度は2025年10月から適用されています。子どもが3歳になった後も働き続ける場合は、会社がどの措置を導入しているか確認しておくと、長期的な働き方を考えやすくなります。
復職する場合は、「まず3ヶ月働き、勤務時間や業務量を見直す」など、判断時期を決めておくこともできます。復職後に問題が明確になれば、会社へ相談する内容や転職先に求める条件を整理しやすくなるでしょう。
現在の会社では両立が難しい場合は転職を検討する

働き続けたい気持ちはあるものの、現職の勤務時間や通勤、業務量を調整できない場合は、転職も選択肢になります。
ただし、「時短勤務制度がある会社」と「入社直後から希望する時間で働ける会社」は同じではありません。法律上の短時間勤務制度を利用できるか、会社との個別合意で時短勤務を始めるかによっても扱いが異なります。
求人を比べるときは、次の条件を確認しましょう。
- 入社直後から希望する勤務時間で働けるか
- 実際の始業・終業時刻と残業時間
- 在宅勤務やフレックスタイム制の利用実態
- 子育て中の社員の働き方と評価方法
- 子どもの急な発熱時の対応
- 保育園の送迎に間に合う通勤時間か
育休中に転職する場合は、保育園の入園時期、現在の会社の退職日、転職先の入社日をあわせて考える必要があります。詳しい進め方は、保育園を含めた育休中の転職スケジュールで解説しています。
求人票だけでは、入社直後の時短勤務や残業の実態を確認しにくいことがあります。現職を続けるか迷っている段階でも、転職した場合の選択肢を知っておくと比較しやすくなります。
心身の不調がある場合は休職制度を確認する
心や体の調子が整わず、すぐに復職することが難しい場合は、会社の休職制度を利用できる可能性があります。
休職は、育児休業とは別の制度です。休職制度を設けることは法律で一律に義務付けられていないため、利用できる理由、期間、給与、必要書類、復職条件は会社ごとに異なります。
参考:「休職制度」とはどのようなものですか?|愛知県雇用労働相談センター
休職を考える場合は、次を確認します。
- 就業規則に休職制度があるか
- 自分の状況が休職理由に該当するか
- 医師の診断書が必要か
- 休職中の給与や社会保険料はどうなるか
- 休職できる期間と復職判定の手順
- 保育園の利用を継続できるか
体調が悪化しているときは、復職、転職、退職を一度に決めようとせず、受診や相談を優先してください。体調が落ち着いてから、働き方を改めて検討しても遅くありません。
復帰せず退職する場合はお金と保育園を先に確認する
検討した結果、育休から復帰せず退職することも選択肢の一つです。ただし、退職後の生活費だけでなく、育児休業給付、健康保険、年金、失業給付、保育園への影響を確認してから退職日を決めましょう。
育児休業給付は、育児休業終了後の職場復帰を前提とした給付です。育休開始時から退職を予定していた場合は、支給対象になりません。
一方、当初は復職する予定だったものの、その後の事情によってやむを得ず離職する場合があります。2025年4月1日以降に離職する場合は、離職日まで支給対象となるよう取扱いが変更されています。
参考:育児休業給付を受給中に離職した場合の取扱い|厚生労働省
復帰せず退職する場合の理由の整理、給付や社会保険、会社への伝え方は、育休から復帰せず退職する場合の注意点で詳しく解説しています。
育児休業給付金の返還や退職日の扱いを確認したい方は、育休中に退職・転職した場合の育児休業給付金もご覧ください。
いったん復職した後に退職を考えている場合は、育休明け直後に退職する場合の注意点が参考になります。
後悔しない選択をするための4つの手順

復職、転職、休職、退職のどれがよいかは、家庭の収入、利用できる制度、体調、今後のキャリアによって変わります。次の順番で整理すると、確認漏れを減らせます。
1.心身の状態を確認する
眠れない、食欲がない、日常生活にも支障がある場合は、働き方の比較より受診や相談を優先します。体調が整っていない状態で、大きな決断を急ぐ必要はありません。
2.復帰したくない理由を一文にする
「子どもと離れたくない」「通勤と送迎を両立できない」「今の仕事内容を続けたくない」など、理由を具体的にします。
会社との調整で解決できる問題なのか、会社を変えなければ解決しない問題なのかを分けるためです。
3.会社と自治体へ条件を確認する
会社には復職後の勤務時間、業務、配置、利用できる制度を確認します。自治体には、復職日、転職、休職、退職によって保育園の入園・在園条件がどう変わるかを確認してください。
確認した内容は、後で見直せるようメールやメモに残しておきましょう。
4.収入とキャリアへの影響を比べる
少なくとも次の3つの期間で家計と働き方を比べます。
- 復職または退職するまで
- 復職・転職直後の3〜6ヶ月
- 子どもが3歳になった後
現在の負担を減らすことだけでなく、収入、保育園、再就職、今後身に付けたい経験も含めて検討すると、選択肢の違いが見えやすくなります。
育休からの復帰に関するよくある質問
育休から復帰したくない理由と条件を分けて考えよう
育休から復帰したくないときの選択肢は、退職だけではありません。雇用を続けながら復職条件を調整する、いったん復職する、転職する、休職する、退職するという5つの方法があります。
まずは復帰したくない理由を整理し、収入、保育園、キャリア、心身の状態への影響を同じ項目で比べましょう。育休延長や給付には要件があり、休職や保育園の扱いは会社・自治体によって異なるため、決定前の個別確認も欠かせません。
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