【マタハラ】育休切りで保育園や失業保険はどうなる?退職は会社都合になるの?

                   
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育休中、復職に向けて動き出そうと会社に連絡したら復職を拒否された…。経営難を理由に解雇通知が送られてきた…。これって育休切り…? 突然このような状態になり、頭が真っ白になった経験があるママもいることでしょう。

ここでは「これって育休切り?」「育休切りされたけど今後どうしたらいいの?」と悩むママに向けて、泣き寝入りしないための対処法を解説します。失業保険や保育園はどうなるのかといった疑問や、実際に育休切りにあったワーママの体験談もご紹介します。

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育休切りとは

育児休暇を取ることを理由に退職をせまったり、育休明けに「戻るポストがない」などと復職を拒み退職を強要したりする「育休切り」。

育休切りは男女雇用機会均等法や育児・介護休業法という法律で明確に禁止されているものの、育休切りにあうママは珍しくありません。一体なぜ企業は育休切りをするのでしょうか。

育休復帰前に突然の育休切り!どうして?

2008年のリーマンショックの時、経営難に陥った企業による育休切りが多発し、社会問題になりました。厚生労働省は2009年に、全国の労働基準監督署に丁寧に育休切りの相談に乗るよう通達。企業に向けても育休切りをしないよう呼びかけました。

しかし、育休切りは今もなお水面下で多く行われているのが現状です。主な育休切りの理由は以下の通りです。

・代わりの人を雇ったため戻るポジションがない
・仕事が激務で残業のできない人には務まらない
・保育園に入れず育休を延長したため
・育休中に次の子を妊娠したため

どれもママには非がなく理不尽と思える理由ですが、残念ながらこれらを理由に退職をせまられるママは少なくありません。泣き寝入りを強いられるママは多いのです。

育休切りはマタハラ!違法なので要注意

妊娠・出産したこと、育休を取ったことを理由に退職をせまる、不利益な扱いをするのは男女雇用均等法、育児介護休業法、労働基準法に違反しています。

そのため、会社も育休を解雇の理由にはせず、「仕事が忙しいから子育てをしながら働くのは無理なのでは」といった遠回しな理由で自主退職を促したり、「経営難のため」「営業成績が悪い」など通常の整理解雇だと主張したりすることがほとんどです。

原則として、妊娠・出産、育休を取得したことを理由に妊娠・出産から1年以内に退職をせまる、降格するなどの不利益な扱いをすることは男女雇用均等法で禁止されています。ただし、経営不振などで仕方がない、降格になるが本人が業務量の軽減を求めていたといった場合は例外とされています。

>>関連記事:育休復帰で配置転換を言い渡された!マタハラになる?拒否してもいいの?

育休切りに関する裁判では企業が負けた例がある

妊娠・出産、育休を取ったことを理由にした降格や異動、労働契約を更新しないなどの不利益な取り扱いは違法であり、裁判で企業側が負けた事例もあります。

たとえば、ドイツ科学誌の日本法人に勤める女性が育休切りにあった例。育休明けに収入が大幅に減る職務に異動するか、インドに転勤するかを提示され、断ると解雇となりました。女性が解雇無効と慰謝料を求めた裁判では、女性側が勝訴したという例があります。

また、理学療法士の管理職女性の例では、妊娠中に体の負担が軽い業務への配置転換を希望すると管理職を外され、復職後も管理職に戻れなかったことが男女雇用機会均等法に違反するとの判決が出ています。

参考文献:育休明け「インドに転勤するか…」 解雇無効の判決 朝日新聞

参考文献:マタハラ降格に賠償命令、女性が逆転勝訴 日経新聞

育休切りにあったら保育園はどうなる?

「せっかく保育園が決まったのに…」「退職したら保育園は退園?」。育休切りにあったら保育園はどうなるのか不安なママは多いでしょう。

認可園に通っている場合は、自治体の制度はどうなっているのかをまずは確認を。多くの自治体では仕事を辞めてもすぐに退園となることはありません。「求職中」の扱いで2~3ヶ月は保育園に通うことができます。

>>関連記事:ワーママが転職すると保育園はどうなる?報告はいつするの?継続して通うための注意点

育休切りの場合失業保険はもらえる?

育休切りでも通常の失業と同様に失業保険をもらうことができます。しかし、失業保険をもらうのには要件があり、退職の日以前の2年間で雇用保険に通算12ヶ月以上入っていることが条件です。ただし、育休の期間はこの12ヶ月の算定期間に含まれないことに注意しましょう。

失業保険の給付額・給付期間は、年齢や雇用保険の加入期間や離職理由によって異なります。自己都合より会社都合の方が給付期間は長くなります。また、自己都合退職だと失業保険をもらうまでに3ヶ月の待機期間もあるので、会社都合の方が有利です。

>>関連記事:時短勤務中や育休明けに退職した場合、失業保険はもらえる?

育休切りにあったときの対処法!どこに相談する?

育休切りにあってしまった、そんな時の対処法と相談先について解説します。

すぐにYesを言わない

口頭で遠回しに退職をせまられてもすぐに「Yes」と言わないこと。専門機関に相談するときに備え、「解雇通知書」を文書やメールでもらいましょう。

通知書を出してもらえないのであれば、会社とのやり取りを手帳などに記録しておきます。いつ、どこで、誰から退職をせまられたのか、どのような理由で退職となると言われたのかなどをしっかり記録しておきましょう。

会社に在籍期間を交渉する

育休切りを避けられないようであれば、保育園が決まるまで、もしくは転職先が決まるまでは在籍させてもらえないか会社に交渉してみましょう。

たとえば保育園が4月入園の場合、4月末の退職にしてもらえば、保育園に復職証明を提出することができます。少しでも自分が不利にならないよう交渉する価値はありますよ。

専用のホットラインに相談する

会社との話し合いで解決しない場合や専門家の意見を聞きたいといった場合は、各都道府県の労働局に相談してみましょう。

各都道府県の労働局には「総合労働相談コーナー」が設けられています。予約不要で無料、秘密厳守で相談に乗ってもらえます。平日夜間や土日は「通話料無料の労働条件ほっとライン」で電話相談することもできますよ。

厚労省総合労働相談コーナー
厚生労働省 労働条件相談ほっとライン

育休切りで退職するときの注意点!会社都合になる?

やむなく育休切りで退職する場合は、自己都合での退職にならないよう会社に交渉してみましょう。退職願を提出すると会社都合ではなく自己都合での退職となってしまうので、会社から退職願を書くよう求められた場合は注意が必要です。

また、失業保険の申請に必要な離職票には、会社側が離職理由を書く欄があります。自己都合ではなく会社都合にしてもらうよう、会社に確認しましょう。会社都合での退職であれば「特定理由離職者」となり、失業保険をもらう際に有利になりますよ。

自己都合退職は3ヶ月の待機期間がありますが、会社都合だと待機期間がなく、失業保険の給付日数が増えます。

育休切りにあったワーママの体験談

実際に育休切りにあったワーママの体験談をご紹介します。

営業職を外され、東京から九州へ転勤辞令

(東京都 20代 営業)
産前は、会社で唯一の女性営業として働いていました。しかし、妊娠報告を会社にしたころから、私は邪魔ものになってしまったのです。車で各地方をまわる営業職だったので、上司から迷惑だと面と向かって言われました。

お前はもういらないと言われているのがとても悔しくて、妊娠中も営業成績を落とさず必死に頑張ってきました。そしてそのまま産休・育休へ。

産後1ヶ月経ったころ上司に呼び出され、娘と一緒にファミレスで会いました。そこで「子供がいる女性を営業として雇うことはできない」と、突然の育休切りを言い渡されたのです。営業の仕事にやりがいを感じて頑張っていたので、とてもショックでした。

営業ではなく事務職として雇うことはできるとも言われましたが、その場合は九州に転勤になるとのこと。東京で暮らしているのに、私だけ九州に行くなんて不可能です。そんなに私を辞めさせたいのかと、とても悲しくなりました。

その後、社長からも改めて退職勧告を受け、退職が決定しました。これまでやりがいを感じて必死に頑張ってきたのに、子供が生まれたというだけでこんな扱いをされてしまうのかとショックでした。

赤ちゃんをみながら必死で転職活動をして、今では育児に理解のある会社で、やりがいのある仕事を任せてもらっています。

>>関連記事:育休明けに時短正社員で転職!赤ちゃんを育児しながら転職活動した体験談

育休延長を理由に退職を強要された

(長野県 40代 介護福祉士)
保育園が待機児童となり育休延長を申請したときに、「育休を延長した例は無く、例外は作れない」と突然言われました。できれば仕事を続けたいと思って会社にお願いしましたが聞き入れてもらえず、ねばるのも疲れてしまい退職を受け入れてしまいました。

会社と話し合いを重ねた上での一方的な退職強要だったので、自主退職ではなく会社都合の退職にしてもらいました。制度があっても、結局女性が働きやすい職場は日本ではほとんどないと思いました。

育休延長するなら戻る部署がないと言われた

(埼玉県 20代 営業事務)
保育園に入れず育休を延長したタイミングで会社の組織変更があり、今復帰できないなら戻る部署がなくなると言われました。保育園が決まらずやむを得ない理由で育休を延長したのに、育休切りをされてとてもショックでした…。これまで一生懸命会社のために働いていたのに、裏切られた気持ちになりました。

何度も会社と面談の場をもうけ話し合いをしましたが、もし戻れたとしても、自宅から1時間以上かかる支社に異動もあり得ると言われ、退職を承諾しました。

子供を産み、その後会社に復帰してまた活躍したいと思う女性が多いなか、まだまだ子供を持つ女性に対しての受け入れ体制が整っていない会社は多いんだなと思いました。

育休切りにあったら、転職を視野に入れるのもあり

今までこんなに頑張って働いてきたのに、まさか育休切りにあうとは思わなかった…。育休切りにあった多くのママはショックを受けていることでしょう。しかし、育休切りは違法なので、黙って退職を受け入れる筋合いはありません。泣き寝入りをせず、まずは会社と交渉し、労働局などの専門機関に相談してみましょう。

そして、これを機に転職を考えてみるのもおすすめです。育休切りをするような会社では、今後も子育てをしながら働き続けるのは難しいでしょう。

第二子・第三子を妊娠出産するときのことや、今後のキャリアについて長い目で考えてみて、育児に理解がありワーママが活躍している会社に転職するのもひとつの選択肢ですよ。

参考文献:育児介護休業法について 厚生労働省

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有給休暇の日数や残業の有無・時短勤務可能な子供の年齢、リモート勤務の可否など、細かい条件をあなたに代わって企業に確認します。子育てに理解のある会社で家庭も仕事も充実させませんか。

>>関連記事:育休切りで転職するときの注意点!履歴書にはどうやって書く?退職理由はどうする?


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