育児休業中のママの中には、育休からの復帰日をいつにするべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。実は育休復帰日を1日変えただけで、得をしたり損をしてしまうケースはあります。正しい知識を持って、育休復帰までの準備を進められるといいですね。
この記事では、育児休業終了日と職場への復帰日の違いをはじめ、損をしないタイミング、育休復帰のための準備内容について解説します。
もくじ
はじめに、育休復帰のタイミングが合わないときは転職を検討するしかないときがあることをお伝えしてきます。
育休復帰のタイミングは、自分と会社の都合をすり合わせながら決定していきます。
とはいえ、保育園入園のタイミングや会社側の人事計画・事業計画によってお互いが理想とするタイミングが異なるケースもあり、想定通りの復帰ができないかもしれません。
その場合、「復帰のタイミングをズラす」「とりあえず仮の配属先で復職する」など妥協することが多く、理想的な復職とは言えなくなるので注意しましょう。
また、育休復帰のタイミングで希望するポジションにつけない、配属先上司が出社志向でフレキシブルな働き方ができない、育児理解がなく居心地が悪い、などの課題が見つかることもあります。
そうした場合はワーママ・時短社員専門の転職エージェントに早めに相談し、打開策があるかどうか確認して選択肢を持つことが大事です。
まずは「育児休業の終了日」と「職場への復帰日」の違いについて解説していきます。
育児休業の終了日は法律で定められています。
原則として、育児休業の期間は「子供が生まれてから1歳になる誕生日の前日まで」です。
ただし、1歳を超えても保育園に入園できないなど特定の理由が認められる場合は、半年ごとに延長の申請をおこない、最長2歳まで育休にできるので覚えておきましょう。
ただし、育休の延長が認められるのはあくまでも「保育園に入園できないなど特定の理由が認められる場合」に限ります。
保育園が決まっているのに育休を延長したり、そもそも保育園の入園申請を出さず育休期間の延長を前提にしたりすることはできません。
自治体によっては保育園の継続利用に復職証明書が必須など、厳格な管理をしていることもあるのでチェックしておきましょう。
育児休業の終了日は法律で定められていますが、職場への復帰日については会社と相談しながら決めることが可能です。
保育園のスケジュールといった自身の都度と、引継ぎや受け入れ体制、仕事の繁忙期/閑散期など会社都合の両方から復帰日を相談して調整しましょう。
一般的には、保育園に入園し、慣らし保育が終わったタイミングからの復帰となることが多いです。
細かくは業務の都合や給与支払いの締め日等によって変動させることがあるので、事前の相談が欠かせません。
「育児休業の終了日」と「復帰日」の間に期間がある場合、その期間中は一般的な休職と同じ扱いになります。
自身の病気・怪我・家族の介護など、私的な都合によって一時的に業務を離れる状態と同じなので、育児休業中のように社会保険料等が免除されることはありません。
ブランクが長くなればなるほど、「無収入なのに社会保険料の支払いが生じる」という状態が長くなってしまうので、なるべく「育児休業の終了日」と「復帰日」の期間は開きすぎない方がよいでしょう。
一般的には 保育園に入園できる時期がわかったタイミングで、会社や上司に復帰日を相談するようにしましょう。 会社にも復職を想定した受け入れ準備があります。早めに相談することが大切です。
>>関連記事:育休(育児休暇)はいつまで取得できる?期間や育児休業給付金について解説します。
残念ながら、自分の希望と会社の希望が合わず、理想的なタイミングで復帰できないこともあります。
例えば、会社側が早めの復帰を希望していても、保育園の空きが見つからなければ物理的に復帰することはできません。
反対に、自分が早めの復帰を希望していて保育園に空きを見つけても、業務上の調整次第では多少復帰が遅れることも考えられます。
基本的には保育園が見つかり次第の復帰となるよう多くの会社が取り計らってくれますが、途中参画が難しいプロジェクトが稼働中など都合がある場合、復帰直後は以前とは異なる仕事内容になるかもしれません。
復帰するタイミングだけでなく、復帰直後の仕事内容も視野に入れながら、早い段階から相談しておくことが求められます。
職場への復帰日については、社会保険料の観点から、復帰するタイミングによって損をしてしまう時期があります。まずは結論から見てみましよう。
社会保険料で損をしないためには、職場への復帰日は月末を避けるようにします。そして、慣らし保育の期間と、自治体による規定から具体的に何日に復帰するかを決めていきます。
実は、産前・産後休業中や育児休業中は社会保険料が全て免除されています。この社会保険料が再び発生する月がいつになるのかは、「月末の時点で復職している」かどうかによって決められます。
たとえば、復帰日を4月30日にすると、4月1日から29日まで育休中であったにもかかわらず、まるまる4月分の社会保険料が発生します。この場合、復帰日を1日ずらして5月1日にすると、4月の1ヶ月分の社会保険料を支払わずに済みます。社会保険料の免除期間を有効に活用するためには、月末を避けて月初に復帰するようにしましょう。
慣らし保育の期間は保育園によって異なります。また、慣らし保育が5日間と決められていた場合でも、子供が保育園に慣れなければ、さらに期間が延長される場合もあります。復帰日は慣らし保育の期間を踏まえ、少し余裕をもって設定しておくと良いでしょう。
また復帰日は自治体の規定も踏まえて調整する必要があります。継続的に保育園を利用する為には、「保育園の入園から〇日後までに自治体に復職証明書を出さなくてはならない」といった決まりがあります。入園から復職証明書を出すまでの期間は自治体によってさまざまです。たとえば、関東圏のある市では「4月入園の場合は、6月1日までに復職し6月10日までに復職証明書を提出すること」といった決まりがあります。自治体によっては4月中に復職しなくてはいけないケースもありますので、あらかじめ役所のホームページなどで調べるようにしましょう。
>>関連記事: 【体験談】育休復帰は不安がつきもの!育休明けが怖いときの対処法
ここでは、育休復帰について後悔しやすいポイントを解説します。以下のような後悔を防ぐためにも、自分に起こり得ないかシミュレーションしておきましょう。
育児休業から復帰すると、どうしても子どもとの時間が減少することがデメリットです。
その分働いて収入やキャリアを得られたり、子どもも保育園生活のなかで社会性を育めたりするのがメリットですが、親子でのんびり過ごす平日の時間がなくなったことに寂しさを感じるかもしれません。
保育園に預ける時間も長くなり、子どもの成長を見逃してしまったときは、より後悔が深まる可能性もあります。
ただし、早すぎる復職が親子の距離感を広げる原因になることはありません。
直接対面する時間が短くなっても、夕方以降の時間にたっぷり構ってあげたり休日の時間を子どもとゆったり過ごしたりすることで解消できます。
どうしても気になるときは時短勤務やリモートワーク、フレックスタイム制度を検討するなど、働き方の見直しを検討しましょう。
復帰のタイミング次第では、慣らし保育期間が短くなって子どもに負担がかかってしまうことがあります。
最長で1ヶ月程度慣らし保育の時間を取る保育園がある一方、なかには1週間未満で慣らし保育を終えたワーママもいて、期間の長さは保育園や家庭・仕事の状況によりさまざまです。
慣らし保育は保育中の事故や病気対策としても有効なので、無理のない範囲で余裕を持ったスケジュールにするのが理想です。
会社の担当者によっては、「保育園に入れさえすればその日のうちから復帰できるはず」など誤った認識を持っていることがあります。
慣らし保育とは何か、どの程度の期間が必要なのか、会社に説明してあらかじめ理解を得ておくとよいでしょう。
育休は最長で2年、会社によっては3年以上連続取得できるのが魅力ですが、復帰が遅くなりすぎて復帰後のポジションがなくなってしまうリスクもあるので注意しましょう。
休職の期間が長くなればなるほど、自分が就いていたポジションで新たな担当者が成長している可能性は高くなります。
場合によっては、休職中にポジション面で後輩に抜かされてしまったり、以前と同じポジションに戻れずマミートラックに突入してしまうことも想定できます。
どうしてもポジションが変わる場合でも、自分のスキルや知識を活用できる部署に異動をお願いするなど工夫し、やりがいやモチベーションの維持を図りましょう。
復帰のタイミング次第では、以前と同じ役職・部署への復帰が叶うとは限りません。
休職中の会社の部署編成や業績が変わってしまうケースは珍しくなく、復帰のタイミングに合わせて人事配置が再考されることが多いです。
どうしても会社の都合による人事命令は避けられないため、復帰後のポジションを気にするのであればなるべく育休は早めに切り上げるのが理想です。
可能であれば育児休業中でも会社との連絡を取り、復帰後のキャリアについて話し合っておきましょう。
場合によっては会社の状況やチームのニーズに合わせて、復帰後の役割や仕事内容を調整してもらえる場合があります。
労働条件・雇用形態・給与などの諸条件で会社と合意できなかったときも、復帰のタイミングを後悔しやすくなります。
復帰後に以前と同じような働き方ができず、労働条件・雇用形態・給与が変わってしまう場合、キャリアダウンであればあるほど後悔するでしょう。
一方、タイミングによっては他の育休明けワーママが第一希望の部署で復帰できているケースを目にすることもあり、「復帰のタイミングを見誤ったか?」と感じてしまうことがあるのも事実です。
まずは、妥協した条件にならずに済むよう、自分の優先条件を明確にしておきましょう。
給与が第一なのか、ポジションや部署が第一なのかを検討し、復帰時の労働条件等を綿密に話し合っておくのがポイントです。
どうしても合意できないときは転職も視野に入れることになるため、復帰ギリギリでの話し合いにならないように注意しましょう。
「出産後はなるべく早めに復帰してバリバリ働こう」と思っていても、柔軟な働き方ができず、想像以上に大変な毎日になることも多いです。
特にリモートワーク・フレックスタイム制度・時短勤務などが使えない場合、出社前提のフルタイムで働くしかなく、柔軟性がなくなります。
普段であれば問題なくこなせていても、子どもの体調不良時や保育園・学校等のイベントがあるときに不都合が生じやすく、キャリアと育児の両立を考えたときのハードルになるケースも珍しくありません。
業務効率の見直しや上司との話し合いで改善できることもありますが、根本的な解決や相談直後の変更は難しいこともあるので注意しましょう。
結果、毎日の忙しさに疲れ果てて仕事を辞めてしまうワーママも出てきます。
一度完全に離職してしまうと保育園を利用し続けることもできず、キャリアが途絶えたり再就職が難航したりすることもあるので慎重な判断が欠かせません。
どうしても両立が難しいと感じたときは、働き方を見直して転職や異動を検討した方がよいでしょう。
ここでは、スムーズな育休復帰の為に準備するべきことを解説します。復帰のタイミングだけでなく、労働条件の相談のコツなどもチェックしておきましょう。
まずは、早い段階で復帰希望日を職場に伝えておくことが大切です。
人事部や直属の上司はもちろん、復帰後にまた一緒に働くであろう先輩社員や同僚がいれば、復帰のイメージだけでも共有しておきましょう。
100%理想通りにいかずとも、「〇ヶ月後にはあの人が戻ってきてくれるはず」というイメージを根付かせることができ、復帰の相談もスムーズになるかもしれません。
また、保育園の入園が確定したタイミングですぐに復帰の相談をするなど、こまめな情報共有を心がけましょう。
復帰希望日の早期伝達で職場の準備が整うことも多く、業務の引き継ぎやチームの調整の面で会社側が助かることも多いです。
保育園が決まると何かと忙しくなりがちですが、その日のうちに会社に報告だけでも済ませておくなど、工夫しましょう。
復帰後の生活をシミュレーションしておき、日々の時間管理を徹底するのもおすすめです。
保育園が決まれば、自ずと送迎の時間や夕方以降の時間の過ごし方もシミュレーションしやすくなります。
「〇時までに会社を出て、〇時までに保育園の送迎を済ませ、〇時間かけて会社に行って…」など具体的なイメージができれば、無理なく継続できるか判断できます。
どうしても物理的に難しいスケジュールになりそうなときは、時短正社員での復帰を検討するのもおすすめです。
その他、夫や近くに住む親戚のスケジュールも確認し、どんなタイミングであれば頼れるのか可視化しておくのも効果的です。
育休復帰においては、復帰後の働き方が産前と変わるケースが少なくありません。復帰後に自身と会社間で認識の違いが無いように、事前に復帰後の労働条件を確認しましょう。下記の項目について、自身の希望や家庭内での相談を済ませておくと理想的です。
また職場復帰と同時に始まる、保育園生活に向けても準備が必要になります。ママ自身が安心して仕事をできるように可能な範囲で事前に準備を進めましょう。
復職したばかりの時期は、想定外の様々なトラブルが起こりがちです。子供の急な発熱やママ自身のストレスや体調不良などもあるでしょう。仕事と育児を両立させるために、少しでもママの負担を減らすサポート体制を整えましょう。
>>関連記事:育休明けの仕事復帰までに準備しておきたい12のポイント
どうシミュレーションしても理想的な育休復帰ができなさそうなときは、思い切って転職を検討するのもおすすめです。
育休からの復帰と転職を同時期にするのは負担が大きいように感じられるかもしれませんが、条件の合わない会社で無理に過ごす時間を考えると、早い段階での転職で損することはありません。
転職であれば自分のペースで進めることができ、働き方や労働条件もゼロから見直しできるので、仕事環境をリセットできるのも魅力です。
自分のスキルや経験が活きる仕事を選べばキャリア面はリセットされずに済むので、想像以上に好条件の会社に転職できることもあるでしょう。
転職する場合、ワーママのサポートに強い転職エージェントを選ぶのがおすすめです。
ワーママの転職は「時短正社員」「ワークライフバランス重視」「子どもの都合第一」など特殊な転職になりやすく、一般的な転職エージェントや転職サイトでは理想的な求人が見つからないかもしれません。
一方、ワーママ特化型の転職エージェントであればワーママ向けの求人を中心に扱っているので、入社後のミスマッチも最小限に抑えられます。
職場の復帰日は、会社との話し合いによって調整できます。
社会保険料の支払いなどで損をしないような復帰日を設定したり、保育園の慣らし保育や自身のキャリア形成の面から復帰日を調整したり、工夫してみましょう。
とはいえ、全てのワーママが理想通りの復帰日で設定できるとは限りません。
部署異動や労働条件の変更が発生することも多く、どうしても会社側からの提示内容に納得できないこともあるでしょう。
リアルミーキャリアでは、ワーママ特化型の転職エージェントサービスを手がけています。
理想的なタイミングで復帰したい方や、復帰後の働き方を見直したい方のお力になれますので、不安がある方はお気軽にご相談ください。