「育休が明けて復職しようと思ったら、パートに降格させられてしまった」という信じ難いことが起こってしまったら、いったいどうすればよいのでしょうか。
「育休明けでも、正社員であれば法律で立場が守られているはずなのになぜ?」と思いますよね。
でも、怒りたくなる気持ちをまずは抑えて、「どう対処したら一番よいのか?」を冷静に考えてみましょう。
相談して解決できることもあれば、待遇や給与を見直してもらえることもあります。
ただし、どうしても交渉がうまくいかないときや、正社員として働き続けられるものの人間関係が悪化してしまった場合は、転職を検討してもよいでしょう。
一度パートになってしまうと正社員には戻りにくく、その後の再就職・転職も不利になりやすいため、転職するなら早い段階での決断が求められます。ワーママ・時短社員向けの転職エージェントに相談して解決策を探りましょう。
本記事では、育休明けのタイミングで正社員なのにパートにされたときの対処法を解説します。正社員のポジションを守りながら子育てとの両立も叶えるためにも、ご参考ください。
もくじ
結論からお伝えすると、育休を理由とした強制的な雇用形態の変更は違法に当たります。(※)
労働契約法第八条では「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定されています。
つまり、社員本人の合意がなければ、正社員からパートに変更することはできません。
たとえ会社の就業規則に「使用者は労働者に対して正社員からパート社員への降格を命じられる」という文言が書いてあったとしても、法律の方が優先されます。
ただし、本人から「育休復帰のタイミングでパートにしたい」などの相談があった場合、双方の話し合いを経てパートに切り替えるのは問題ありません。
あくまでも会社による一方的な決定や雇用形態の変更命令が違法に当たる、という点に注意しましょう。
(※)参考:妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止について|厚生労働省福井労働局
(※)参考:育児休業を取ったらパートになれと言われた | 長崎労働局
相談して正社員のままでいられることもありますが、既に人事命令や内示が出ている場合、相談だけで覆すのが難しいことが多いです。
結果的に正社員でいられても、何度も繰り返し相談の場を設けることで空気が悪くなってしまったり、「会社に反発した人」とみなされて社内での居心地が悪くなってしまったりすることもあるでしょう。
そもそも、雇用形態の変更という大きな決定を一方的に決められてしまう会社に対し、不信感が拭えなくなるかもしれません。
とはいえ一度パートになってしまうと正社員に戻ることは難しく、パートとして働く期間が長くなればなるほど再就職・転職のハードルも上がります。
いざ転職しようと思ったときに「正社員としてのブランクが長くてどこからも内定が得られない」「ブランクが理由で転職時の給与が想像以上に下がってしまった」などの悩みも多いです。
パートに切り替えるくらいであれば、思い切って転職を検討した方がよいでしょう。
まず、「会社側が一方的に正社員をパートに降格させるようなことは、法律的にできない」ということを、理解しておきましょう。
労働契約法第八条には、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と記されています。
つまり、社員本人の合意がなければ、正社員からパートに変更することはできないのです。たとえ会社の就業規則に「使用者は労働者に対して、正社員からパート社員への降格を命じることができる」というような文言が書いてあったとしても、法律の方が優先します。
また、育休明けの人は、育児介護休業法でも正社員からパートへの契約変更の強要を禁じています。育休復帰時や復帰後のタイミングで、正社員からパートになるよう命じられた人もいるかもしれませんが、違法にあたります。
正社員からパートに降格を言い渡された際、つい動揺して頭が真っ白になってしまうかもしれません。曖昧な回答やその場をやり過ごすような答え方をしてしまうと、思わうぬ落とし穴にはまる可能性があるので注意しましょう。
なかには「会社に言われてしまったら、もう認めるしかない」と思い込んで、会社から差し出された雇用契約書に署名してしまう人もいます。
でも、いったん正社員の雇用契約を解除してしまうと、もう二度と正社員に戻ることはできません。パートに降格したくなかったら、絶対に契約に同意しないことです。
一番理想的なのは、会社側と温和に話す機会をもって、双方が合意できる方法を見つけることです。
会社が正社員からパート契約にしたいと思っている事情をまずは聞いてみましょう。経営難によるやむなき選択かもしれませんし、自分が気付かなかった業務上の落ち度を指摘されることもあるかもしれません。
そして、それに対して自分はどう思っているのかを伝え、お互いの妥協点・改善点が見つかれば、それがベストの方法です。
もし今まで良い人間関係を築いてきた職場なら、その良好な関係をできる限り壊さずに解決するのが、最も望ましい解決方法でしょう。
信頼できる上司や仲間がいれば相談した方がよいですし、労働組合のある会社なら、組合を通して話し合いの場をもつという方法もあります。
では、会社側に一方的に正社員からパートへ雇用契約を変更されてしまったら、いったいどうすればよいのでしょうか。
問答無用で正社員からパートに降格を言い渡すような場合は、もはや会社側の善意は期待できないので、契約変更の撤回を求める「申込書」(通知書)を会社に送付するしかありません。
そのときに大切なのが、普通郵便ではなく内容証明郵便で送付することです。そうすることで、いつ誰がどのような内容の文書を会社に差し出したかが証明されるので、会社側も「弁護士を雇ったかもしれない」と懸念し、そのプレッシャーによってパートへの変更を断念する可能性もあります。
契約変更の撤回を求める申込書を送っても解決できなかった場合は、いよいよ労働局に紛争解決援助の申立てを行うことになります。
それによって労働局から会社に助言や指導が入り、不当な契約の変更を撤回できるケースもあります。ただし、ここまでくると、会社側とは完全に紛争状態に入ります。
労働局でも解決できなかった場合は、最終手段として弁護士に相談し、調停や裁判を行うという方法も残されています。
調停や裁判は長期にわたることも多く、気力も体力もお金も使うので、その点は覚悟する必要があるでしょう。
労働局への紛争解決援助の申立てや、弁護士を通しての調停・裁判の申立ては、法律的に考えて最も有効な解決手段です。なぜなら、法律的には社員の側が圧倒的に有利だからです。
ところが、法律の問題よりもっと怖いのは、そこまでいくと社内で孤立する恐れがあることです。上司や同僚から、冷たい視線を浴びせられることがあるかもしれません。本人には非がないのに理不尽な仕打ちですが、これは日本特有の風土で仕方のない現実でもあります。
申立てしたこと自体を後悔する可能性があるなら、最初から会社との話し合いレベルに留めておいた方がよい場合もあります。
「家族を養わなくてはいけないから、自分はとことん会社と闘う!」という人は、それなりのつらさがあることを承知の上で紛争に臨みましょう。
雇用形態の変更を期に転職する場合、今の会社から離職票をもらうことになります。
離職票が「会社都合」になっていれば、待機期間中(1週間)も含めて失業保険を受給できます。
「自己都合」になっている場合は待機期間中に失業保険を受給できないので注意しましょう。
労働者側は、一方的に正社員からパートに雇用形態を変更させられるのだから、当然会社都合での退職になるだろうと思いがちです。
しかし会社側が「会社都合」にするのを嫌がるケースは多く、「会社都合」で辞めた人が多いと事業支援の助成金が申請できなくなることを理由に、なんとか自己都合退職になるよう働きかけることは少なくありません。
会社都合で退職したいなら、自分からはっきり意思を伝えましょう。
ここでは、正社員継続を目指して転職することになった場合を踏まえ、転職のポイントやコツを解説します。
同じようなトラブルを防ぎ、育休明けも正社員として働き続けられるよう対策しましょう。
正社員ワーママの多い会社であれば、無理なく子育てと両立できる環境であるとわかります。
会社側もワーママを雇用することに慣れていて、「育休(産休)明けならパートに切り替えるしかないだろう」という偏見とぶつかることもありません。
また、周囲に同じ境遇の人が増えるので心理的にも楽になりやすく、子どもが体調不良になったときも「お互い様」の精神で支え合えるでしょう。
また、ワーママが多い会社は、育児と仕事を両立するためのサポートが充実しています。
育児休暇や産休の取得実績が高く、社員のライフステージに配慮したキャリアパスの設計にも長けているなど、「正社員でいつづける」だけではないメリットを実感できます。
時短正社員は、フルタイムの正社員と同じ待遇で働きながら、勤務時間を短縮できる雇用形態です。
転職先を探すときは、時短正社員など子育てと両立しやすい雇用形態にできるか確認しておきましょう。
子育てと仕事の両立を第一に考える場合、正社員のポジションを維持したまま労働時間だけ短縮できる「時短正社員」の制度は非常に魅力的です。
ただし、転職直後から時短勤務できる会社はまだまだ少ないのが現状です。
時短制度があっても「勤続1年以上の既存社員だけを対象としている」など条件がつくことが多く、入社してすぐに使えるとは限りません。
転職直後から時短勤務できる会社を探したいときは時短正社員専門の転職エージェントを使うなど工夫し、一般的な転職サイト等には掲載されない希少求人を見つける必要があります。
パート・アルバイトや契約社員・派遣社員にならずとも、正社員のままで働ける道を探っていきましょう。
ワーママとして長く働き続けたいのであれば、働き方を意識して転職先を探すことも大切です。
例えばリモートワーク(在宅勤務)ができる会社の場合、自宅で仕事ができるため通勤時間を削減でき、その分育児に費やす時間を確保できます。
急な子どもの体調不良や学校行事にも柔軟に対応でき、家庭と仕事を両立させやすくなるでしょう。
同様にフレックスタイム制度のある会社も、自分の裁量で勤務時間を調整でき、急な病気や行事での早退や遅刻にも柔軟に対応しやすくなります。
他にも、通勤時間・労働時間・勤務曜日(時間)・休日出勤や残業の有無など、リアルな生活をシミュレーションしながら転職先の選定ポイントにしたい要素はたくさんあります。
理想ばかり高くなってしまわないよう、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談しながら優先順位をつけ、正社員として理想的な働き方ができるよう模索してみましょう。
安定性・成長性の高い企業を優先して転職することで、業績悪化による雇用形態の見直しや給与の低下を避けられます。
長期的に安心して働ける企業を選べば、家庭と仕事のバランスを保ちながらキャリアを築けるのもポイント。
堅実な財務基盤・強固なブランド力や市場シェア・業界の成長性・積極的な人材採用など、その会社ならではの強みがあれば安心です。
企業の成長性を確認するためには業界動向や競争力を調べることが近道となるため、企業分析・業界分析を進めましょう。
また、転職エージェントに相談し、成長性の高い企業を紹介してもらうのも効果的です。
過去の業績や今後の展望を聞くことも、企業の将来性を見極める手助けになります。
企業文化や社風は、職場での快適さやキャリアアップとライフスタイルの両立に大きく影響します。
特に育児中の社員やワークライフバランスを重視する方にとって、企業文化との適合性は職場でのストレスを軽減することにつながるので軽視できません。
企業特有の価値観・行動規範・働き方・コミュニケーションの方法など、職場での日常的な習慣や雰囲気を調べておきましょう。
とはいえ、会社の内部事情は求人要綱や外部向けの公式HPからだけではわかりにくいものです。
転職エージェントなど内部事情を詳しく教えてくれる存在を身につけ、自分の理想や適性に合いそうな会社をピックアップしてもらうとよいでしょう。
また、既に気になる会社があるときは、キャリアアドバイザーと一緒に企業分析するのもおすすめです。
正社員として転職したいワーママは「リアルミーキャリア」へご相談ください。
リアルミーキャリアはワーママと時短正社員に特化した転職エージェントで、正社員として働き続けたいワーママを支援しています。
時短正社員であれば、正社員のポジションを維持したまま労働時間を短くできるので、比較的子育てとの両立もしやすいでしょう。
また、リモートワークやフレックスタイム制度を導入している企業の求人も多数取り扱っています。
パートに雇用形態を変更してキャリアダウンするのが不安な方は、これを期に働き方を見直してみてはいかがでしょうか。
突然正社員からパートにされたら、どうしたらよいかわからなくて、パニックになってしまうことがあるかもしれません。
しかし、まずは「会社が正社員を強制的に降格させることはできない」ということを念頭において、落ち着いて行動することが大切です。
紛争に至るのは最後の手段として用意しつつも、信頼できる上司や同僚、キャリアコンサルタントなどに相談しながら、長い目でみて自分が気持ちよく働き続けられるような方向で調整できると良いですね。
「リアルミーキャリア」では、正社員を続けながらワークライフバランスも維持したいワーママを支援しています。
本格的に転職すると決まっていない状態で「相談だけしてみたい」というお問い合わせも歓迎していますので、まずはお気軽にご連絡ください。