時短勤務中の転勤辞令を機に、大企業から社員10人のスタートアップベンチャーに転職

                   

社員に対する待遇が手厚い大企業は、一見すると、子育て世帯にとってこれ以上ない良い環境と思えます。

しかし、現職が大企業でどうしても辞めざるを得ない状況だったり、今後のキャリアを考えるとこれ以上留まれないといった状況となった場合、キャリア形成と育児の両立を叶える選択肢の一つに、「働き方が柔軟なベンチャー企業への転職」があります。

ベンチャー企業では、時短勤務やフレックスタイム、リモート勤務等、仕事と育児の両立に好都合な働き方ができる場合が多いうえ、様々な業務に幅広く、スピード感をもって携わることでキャリアの可能性を広げられるといった側面もあります。今回は、大企業からベンチャー企業に短時間正社員として転職したワーキングマザーの事例をご紹介します。

突然の転勤辞令!通勤時間と災害時のリスクヘッジのため転職を決意

Wさんは、夫とお子さん2人の保育園ママ。新卒から大企業勤務、その中で営業から業務や組織の設計、管理などに従事。

新卒から長く勤めた会社を退職するきっかけとなったのは、遠方の勤務地への異動という辞令を受けたことです。
辞令ですので、それを承諾するか、しないのであれば退職するかという選択肢しかありませんでした。かなり悩みましたが、災害時のリスクが決定打となり、退職を決意しました。まず、時短勤務の勤務時間は比較的柔軟に交渉できたため、勤務時間をより短くすれば通勤出来ない事は無かったのですが、それまでと比較して通勤時間が数倍に増加するというのは、気持ち的につらいものがありました。また、こちらが決定的な要因なのですが、遠方というだけでなく、自宅から見たときに夫と同じ方向の勤務先になる為、災害時に両親のどちらも保育園のお迎えに行けない状況になる可能性が高く、そのようなリスクを取ることはできない、と退職を選ぶことにしました。

数万人規模の大企業から10人のベンチャー企業へ転職

しばらくは時短勤務を続けたかったため、働き方が柔軟で通勤もしやすい場所にあるベンチャー企業に応募し、内定を獲得しました。組織の立ち上げやオペレーション構築の経験があったため、比較的ベンチャーでも受け入れられやすい経歴だったのが幸いしました。周囲には「なぜ、あんな大手から、ベンチャーに?!」とかなり驚かれましたが…。実際に入社してみると、想像していた以上に働き方は全く違うものでしたね。まず、スピード感が大きく違います。

前職では、サービス規約の文言一つ変えるのにも会議で50時間費やします。絶対に間違えてはいけないですし、巨大なサービスのどこにどう影響するか、着実に検証する必要があるので。
ただ、現職のベンチャーでは今日思いついた改善がもう翌日には仕上がっています。笑。その分、雑だし粗は多いですけどね。それでもスピード感をもって改善を続けるのが、サービスの生き残りにとってはとても大事です。また、職場にいる人たちの属性が違います。
前職は、良くも悪くもエリートの集まり。
履歴書がピカピカの優等生で、組織の中でスマートに振舞う、着実に与えられた仕事をこなす人たちの集団でした。
現職は、本当にいろんな人たちがいます。
ただひとつ共通して言える事は、サービスに対して自分ごととして真摯に向き合う姿勢です。
このくらいの規模の組織では一人の責任や役割、それに伴う裁量が格段に大きいです。
よって、みんなサービスに対して自分ごととして真摯に向き合い、自分ができることを最大限活用して、自分の役割に制限を設けずマルチタスクで進めています。

経営が近く、自分次第で事業や組織を作ることができるベンチャー

前職では20年近く勤務していましたが、私個人が会社の経営や事業運営に意見できる機会はありませんでした。
あくまでも、経営として意思決定がされた事項に対して、即した組織やオペレーションを設計することが求められます。しかしながら、現職では入社してまだ間もないですが、自分の意見が業務や人事制度に既に反映されています。

たとえば、採用時には私のポジションは「リモート勤務不可」とされていたのですが、実際に働いてみると一部ならリモートでも影響がなさそう、ということが判りました。
しかも、通勤時間や子どものお迎え時間を鑑みると、出社するよりも早い時間で始業し、お迎え時間ギリギリまで勤務できるため、業務上のメリットもありました。
それを早速社内で提案し、一部ですがリモート勤務が可能になりました。ベンチャーはもともとルールが少なく、影響範囲も限定的なので、組織にとって合理的な提案は、すぐに実態に反映できるという良さが有りますね。また、前職では事業運営においても、極力失敗しない安定した事業計画のもと進めていくので、不安がない一方で、想定の範囲内で物事が進むつまらなさはありました。
ところが現職では、一か八かの施策や、突拍子もない案にチャレンジしてみたり、そこに自分の意見を反映できたりと、毎日刺激に満ちています。ただ、大企業からベンチャーへの特有の難しさもあります。
前職では役割が細分化されていたため、実際の業務の末端までは把握もしていなければ、実行するスキルもないという状態です。

例えば私の目下の課題はITスキルの向上。
前職では、分析したい内容があれば、ボタンひとつで抽出できたり、フォーマットがない場合もシステム部門のエンジニアにオーダー。
きれいに整って出てきた情報を使って考えれば良かったわけです。
しかしながら、現職ではまずどこにそのデータがあるのか、どうすれば抽出できるのかと、全て自分で探して、作業しなければたどり着けません。
日々調べながらよちよちキャッチアップしています。また、前職では時短勤務として申請すれば、時短勤務には勤務時間に見合った工数を配慮してもらえますし、必要であればフォローしてくれる人材も充ててもらえます。
しかし、現職ではそういった配慮はありません。
自分のタスクが終わらなければ、帰宅後や翌日に持ち越したりして、何とか自分でやりきる必要があります。

私の場合は特に、制度やルールが明文化されていないことで、周囲の人もどの程度の業務を配分したら良いか分からなかったのもあると思います。
どうしても、できる人に仕事がどんどん降ってくるということにはなりやすいですね。
ただ耐えていても状況は変わらないので、どうしたらやりやすいのか、それが組織にとっても良いことなのかを発信し、周囲の理解を得ながら調整していく動き方が必要です。

大企業で将来像が見えていた安定の人生から、ベンチャーへの転職で変化と面白味が生まれた

ある意味、前職では未来が見えていました。
このままの仕事を続けて、定年まで働いて、毎年の収入はどのくらいで、福利厚生や時短などの育児中の働き方の面も含めて、何の不安も不満もありませんでした。現職は…言わば数年先の会社の存続さえ不透明です。

ただ、その分、今の自分が想像もできないような未来につながっていると思います。
前職では、在籍していることが前提のキャリアや人生の設計で、「ここ」しか見えていなかったように思います。
転職により視野が広がり、見える世界が変わりました。
自分ができることを最大限に発揮し、さらにそこにスピード感をもって上積みすることで、今後の可能性を広げていくことができると考えられるようになりました。

具体的な業務に関しては、想定していたタスクだけにとどまらず前職での専門知識を活かした法務関連の業務にも携わっています。
会社に依存するのではなく、自分で舵取りをする人生にシフトできたかな、と思います。

子育てが一段落したら、より経営に近いポジションに挑戦したい

私は常に「あるべき姿」を念頭において全てを判断しています。
一番大事なのは、家庭でのあるべき姿で、とにかく子供のことを最優先で考えています。
ただ一方で、社会においてのあるべき姿も大事で、社会で必要とされる人であり続けたいと考えています。
それぞれバランスをとりながら、無理のない働き方を実現させていきたいです。
また将来的に、子育てによる時間制約が外れた時には、もっともっと仕事に注力して、さらに経営に近いポジションに携われるようになりたいと考えています。

【Wさんの転職の希望条件】

災害時に徒歩でも子どものお迎えに行ける勤務地短時間正社員で裁量をもってできる仕事

◆「自分が活きる」働き方ができる環境を作り上げる

Wさんは、転職先で時短勤務者の第一号です。
時短勤務としての働き方のモデルがない中で、仕事量の調整や、コミュニケーション方法の改善、さらにはリモート勤務を可能にする等の制度改善まで、自身の「子供が最優先」という観点と「会社にとって合理的」という観点の双方のバランスをうまく取りながら、スタイルを確立していっています。

このような活動により、Wさんの能力を如何なく発揮できるのはもちろんのこと、同様の状況の方の採用がしやすくなったり、これまで制約なく働いてきた方にも生産性の高いワークスタイルが提案できるようになっています。

◆転職の原点に立ち返る

Wさんの今回の転職は、「子供が最優先」というのが原点で、一番のポイントでした。
転職後、つい仕事が溜まって焦りが出ると、家庭の時間でもメールやチャットを確認してしまった時期もあったそうです。
しかしながら、転職の原点である「家庭でのあるべき姿」に立ち返り、子供との時間を仕事に使ってしまっては意味がないと気づき、今では家では絶対に開かないと決めたそうです。
その軸が明瞭であるために、転職による環境の変化も自分の中で消化して楽しめていらっしゃるようです。


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