育休復帰後のマタハラで仕事を辞めたい!退職・転職するときの注意点

                   

育休が終わって職場に復帰すると、上司や同僚から「マタハラ」を受けてしまうことも少なくありません。

ただでさえ忙しい子育てにストレスを感じているのに、会社で嫌がらせを受けてはたまったものではないですよね。思い悩み、退職や転職を考えているママも多いのではないでしょうか。

今回は、育休復帰後のマタハラの基礎知識や該当するケース、マタハラで退職・転職する際の注意点などを紹介していきます。

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マタハラの定義とは?

マタハラは、正式名称を「マタニティハラスメント」といい、主に妊娠・出産や子育て中の女性に不快な思いをさせたり、不利益を与えたりすることを指します。マタハラは、上司や同僚のほか、会社そのものが慣例として行うことも少なくありません。たとえば、妊娠を報告すると上司から嫌味を言われる、産休に入る前に退職するように指示をされる、出産後に異動を命じられるなど、さまざまなケースが該当します。

また、男女雇用機会均等法第9条第3項では、女性労働者の妊娠・出産等厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇その他不利益取扱い(マタハラおよびイクハラ)を禁止しています。マタハラ防止対策は2022年4月から更に強化されており、相談に対して適切な行動をすることやハラスメント予防教育に関する企業側の義務について規定されました。ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置を講じるなど、企業側の努力も求められています。

マタハラ経験率は正社員で21.8%

厚生労働省による調査では、マタハラを経験したことのある正社員は全体の21.8%に到達することがわかりました。派遣労働者では48.7%など半数近くがマタハラを経験しており、非常に身近な課題であるとわかります。正社員の場合は仕事と妊娠・出産・育児との両立を課題視されやすいこと、派遣労働者の場合は継続派遣の可否や更新の有無に影響しやすいことなどが背景となっています。

もちろん、妊娠や出産は悪いことではなく、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法でも、労働者の妊娠・出産などを理由に不利益な扱いをすることを禁じています。正社員だけでなく、派遣社員やアルバイト、パートのママであっても同じことです。ママ本人が働きたいという意思を持っている限り、上司や同僚がとやかく言う権利などありません。しかし、実際のマタハラ相談件数からもわかるように、残念ながら法律を無視してマタハラを行う会社が多いのも事実です。

(※)参考:妊娠等を理由とする不利益取扱い(※)に関する調査の概要 ■調査対象者 ・企業調査

これってマタハラ?育休復帰後に多いマタハラ事例

ここでは、育休復帰後に多いマタハラ事例を解説します。妊娠中や出産前後時期のハラスメントも「マタハラ」に含まれますが、育休復帰後のマタハラ(イクハラ)は仕事との両立にダイレクトな影響を与えやすいため、以下でひとつずつ事例をチェックしてみましょう。

「迷惑」「専業主婦になれ」など精神的な攻撃

子どもの体調不良による頻繁な遅刻・欠勤・早退や残業・休日出勤・出勤ができないことに対して、「それではチームのメンバー全員に迷惑がかかる」「両立できないなら専業主婦になった方がいい」など精神的な攻撃をすることもマタハラに含まれます。産前と同じくフルタイムで働いてもらえないことに対して会社側が困ってしまうことがあるのも事実ですが、人員補充や業務効率の見直しで改善するべきポイントであり、産休・育休を取った個人に対して精神的な攻撃をする理由にはなりません。

また、精神的な攻撃は直属の上司だけでなく同僚・部下・他部署のメンバーから受けることもあります。居心地の悪さに退職・転職を選ぶワーママも多く、産後のキャリア構築の難しさにつながっています。

退職強要

「こんなに休むなら辞めてもらうしかない」「このまま雇い続けることはできない」など、解雇の示唆も含めてマタハラに含まれてます。もちろん、妊娠・出産を理由とした解雇は法律上禁止されており、会社都合で解雇する場合は解雇予告手当の支払いや失業保険による手厚い保障が提供されます。しかし精神的な攻撃も含む退職強要・示唆をおこない、自発的に辞めたように見せかけるマタハラもあるのが事実です。

正社員の場合は比較的立場が守られているため事例は少なめですが、派遣社員・パート・アルバイト・契約社員などの場合は退職強要のマタハラがおこりやすくなる傾向があります。「契約を更新できない」「派遣先が見つからないから辞めるしかない」などもマタハラと認定されることがあります。

非正規雇用への転換強要

正社員の場合、欠勤率の高さや業務への貢献度を理由に、非正規雇用への転換を強要・示唆されることがあるので注意しましょう。「子どもが小さいうちはパートで働いた方がいい」「残業できない正社員は要らないからアルバイトになるしかない」と言われ、半ば強制的にキャリアプランを変えるしかなかった事例もあるので注意しましょう。一度正社員を外れてしまうと再就職するのが難しいと感じる人は多く、実際に子どもの手が離れてからもう一度正社員になろうとしても、ブランクや経験不足が理由で選考に合格できない人もいます。

時短正社員にして働く時間を短縮するなどの工夫も可能ですが、そもそもワーママに理解がない会社では、時短正社員でもフルタイム同様のコミットが求められてしまうケースが少なくありません。「フルタイムか非正規雇用か」という両極端な考えが、マタハラにつながっていることも多いのです。

降格・減給

妊娠・出産を理由とした降格・減給も法律違反ですが、人事上仕方のない「戦略的な辞令」として発令されてしまうことがあります。明確に「妊娠・出産のための降格(減給)」と理由を明らかにするケースはほとんどなく、欠勤率の高さや業務時間外のミーティング等に参加できない勤務体系を理由としていることが多いです。だからこそマタハラの問題として表面化しづらく、やむを得ないとして泣き寝入りする事例が後を絶ちません。

もちろん、労働者であるワーママ本人と会社との合意があり、降格に至る場合はマタハラではありません。「子どもが生まれたので一度管理職を外れて無理なく働きたい」というニーズもあるため、ワークライフバランスを第一にしたいときは相談してみましょう。

賞与の不利益算定

産休取得や育児休業取得を理由とする賞与の不支給・不利益算定も、マタハラに該当します。就業規則や雇用契約書に賞与の支給条件が明確に定められている場合、産休・育休中や育休明けでも賞与を請求できます。他の社員と同じく支給条件を満たしていないと請求できませんが、条件を満たしているのであれば不支給・不利益算定は違法となるためチェックしておきましょう。

疑わしい場合は、まず自社の賞与規定・算定基準を調べてみるのがおすすめです。賞与と算定期間と産休・育休期間とに重複があり、一定の就業日数を満たせない場合、不支給となっても違法性はありません。まずは賞与の扱いについて違法性があるか、自分が賞与支給の対象者となっているか(査定方法がどうなっているか)を調べ、照らし合わせてみるのが近道です。

人事考課での不利益査定

賞与の不利益算定と同じく、人事考課における不利益算定もマタハラとなります。あくまでも「不利益」算定に違法性があるのであり、欠勤率の高さや業務へのコミットメントについて人事考課に反映させること自体は悪くありません。ただし、「産休・育休を取ったから」「時短勤務を申請したから」という理由で人事評価を下げることはできないので注意しましょう。

人事評価の結果に納得できない場合、まずは自分の評価がなぜその結果になっているのか聞いてみるのがおすすめです。明確な人事評価規定がある企業であれば、査定の基準や評価の内容について細かくフィードバックしてくれます。反対に、上司の好き嫌いや一方的な嫌がらせで評価結果を下げているのであれば、違法性を問える可能性が高いです。

我慢の限界!マタハラで退職するときの注意点

納得のいかない異動や嫌がらせの毎日に、「もうこんな会社辞めたい」と思うママもいるでしょう。会社の思惑通りに退職するのは悔しいですが、働き続けるのが苦しいなら無理をする必要はありません。

離職票の退職理由は「会社都合」にしてもらう

まず、離職票に記載される退職事由は自己都合ではなく会社都合にしてもらいましょう。自分から退職するのだから自己都合になると思い込むママも多いですが、マタハラが理由なら会社都合にすることもできます。会社都合は自己都合より失業保険を早く受け取れますし、給付日数も長くなる可能性があるので有利です。

なお、どうしても会社都合にしてもらえない場合、「正当な理由のある自己都合退職」として離職票を発行してもらう方法もあります。自分で退職を選んだが、退職の背景にはどうしても避けられない理由がある場合に該当する退職理由であり、妊娠・出産・育児も該当します。「特定理由離職者」として認定されて給付制限期間が2ヶ月に短縮されるので、完全な自己都合退職より有利に失業保険の申請が可能です。

(※)参考:ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

会社都合の場合「退職願」は出さない

なお、退職するときに会社から「退職願を出して」と言われても従ってはいけません。退職願を出すと、自己都合退職として扱われてしまう可能性が高いのです。特に会社側が用意している退職願のフォーマットには既に「一身上の都合により」など自己都合を意味する文言が記載されているケースが多く、サインしてしまうと自己都合退職として処理されてしまうことがあります。会社都合退職であれば会社側が解雇通知等を発行してくれるため、退職願を出す必要はありません。

どうしても退職願が必要だと言われた場合、「一身上の都合により」ではなく「妊娠(出産・育児)のため」「通勤困難な地への異動を命じられたため」など、特定理由離職者として認定してもらいやすい文言に退職理由を変更して提出するのがおすすめです。後々ハローワークや労働基準監督署に相談したときも効力を発揮しやすくなるので、参考にしてみましょう。

会社とのやり取りを証拠に残しておく

明らかにマタハラだとわかる嫌がらせを受けているのであれば、会社とのやり取りを証拠に残しておくのもおすすめです。例えば会社のコンプライアンス相談窓口とやり取りしたメールの記録、ハラスメント発言をした人・日時・内容に関するメモ、人事評価の結果シート、降格通知書などが有効です。社内のコンプライアンス相談窓口に証拠を出して解決できるケースもあれば、本格的な労働審判となって証拠が有効になるケースまでさまざまですが、証拠があって損をすることはありません。

会社都合での離職票をどうしても発行してもらえないようなケースでも、マタハラの証拠を持参して労働基準監督署に相談すれば対応できる場合があります。特定理由離職者として処理を進めてくれるなど、退職後の手続きに影響することもあるため、在籍中にできる限りの証拠を集めましょう。

マタハラから転職するときのコツ

最後に、マタハラから転職するときのコツを解説します。マタハラを我慢しすぎるのは禁物です。心身ともに多大な影響を与えるだけでなく、キャリアプランの構築や子育てとの両立に影響が出て、後悔する原因となるかもしれません。「どうしても耐えられない」となる前に転職を検討し、新たな環境で仕切り直しをしてみるのもよいでしょう。

転職面接時に前職の悪口・愚痴を言わない

転職面接時には、前職の悪口・愚痴を言わないよう注意しましょう。転職面接では特に「前職を辞めた理由は」など、退職理由に関する質問がほぼ必ずといってよいほど問われます。ハラスメントなど明らかに会社が悪い理由で退職する場合、ついそのまま「ハラスメントを受けたから」「会社がハラスメントに対処してくれなかったから」と伝えてしまいがちですが、受け取り方によっては悪口や愚痴に感じられてしまいます。

面接官は、困難な状況でも前向きな態度を持つ候補者を好みます。悪口を言う代わりに、経験から学んだことや成長した点を強調することで、より良い印象を与えた方がよいでしょう。また、前職の愚痴を言うことで「この人は新しい職場で不満を言うのでは」と懸念されることもあるので、却ってマイナスの印象になりかねません。

転職先には育児との両立に理解のある会社を選ぶ

転職先には育児との両立に理解のある会社を選びましょう。マタハラが起きる理由のひとつに、「育児に対する不理解」「仕事と育児の両立を支える仕組み不足」などが挙げられます。当然、ワーママを管理・監督する側である上司にマタハラの知識がないと、悪気がなくても傷つくような言動を繰り返されてしまうこともあるでしょう。育児との両立に理解のある会社であればハラスメント研修が充実していたり、両立を支援するような制度が充実していたりするため、ワーママにとって貴重な場となります。

また、育児と仕事を両立しやすい環境では、長期的にキャリアを築きやすくなります。キャリアを中断することなくスキルを磨き、成長を続けるためにも、理想的な環境となりそうです。

自分にとっても無理のない働き方になるよう転職する

無理のない働き方は、ワーママ自身の健康を保つために不可欠です。過剰な職場ストレスやハラスメントは身体的な健康問題を引き起こすだけでなく、精神的な疲弊にもつながるので注意しましょう。ママの余裕がなくなれば家事・育児にも影響しやすく、子どもにとっても良い効果がありません。

転職を考えることで、自分の価値観や優先事項に合った働き方を実現できるチャンスが広がります。例えばフレックスタイムやリモートワークが可能な職場に移ることで、育児や家庭の事情に柔軟に対応しやすくなるでしょう。その他、自分が楽しいと思える仕事内容や人間関係を追求して転職する方法もあり、まずは自分の居心地ややりがいを大切にするのが両立への近道とも言えます。

ワーママ専門の転職エージェントを活用する

転職の際は、ぜひワーママ専門の転職エージェントを活用しましょう。ワーママ専門の転職エージェントは育児に理解のある企業・職場環境をしっかりと把握しているため、単に求人情報を探すだけでなく、理想的な職場の共通項や入社後のキャリア形成についても詳しくアドバイスしてくれます。一般的な総合型転職エージェントと異なり、入社直後から時短勤務できる正社員求人やリモートワークできる子連れ転職向けの求人なども豊富なので、転職の選択肢がグッと拡大するのもメリットです。

業界の動向や求められるスキルを把握しているキャリアアドバイザーも多く、今後のキャリアパスについても的確なアドバイスをしてもらうのもおすすめです。長期的に見たキャリアの成長を考えて転職しやすくなるからこそ、転職活動への納得度も高まります。

まとめ

マタハラはとにかく「我慢しすぎないこと」が大切です。「子どもの体調不良で職場に迷惑をかけているのは事実だから…」「産前のように働けなくて周りに負担をかけているのは本当だし…」とつい後ろめたく感じてしまいがちですが、だからといって違法性のある人事や嫌がらせに近い発言をされる理由はありません。時には毅然としてハラスメントに立ち向かったり、すっぱり転職を決意したりするのも大切です。

リアルミーキャリアはワーママ専門の転職エージェントであり、マタハラを避けて転職したい方の相談を受け付けています。マタハラだけでなく「職場の人間関係が悪い」「産前と産後で働き方が変わって困惑している」などの相談も受け付けているので、お気軽にお問い合わせください。