共働き家庭が幼稚園の預かり保育を使うメリット・デメリットは?利用条件や選考方法も紹介!

                   

共働き家庭が子どもの預け先候補にするのは、保育園であることが一般的です。しかし幼稚園には「預かり保育」枠があり、意外と共働き家庭の利用が増えていることをご存じでしょうか。

今回は、幼稚園の預かり保育について解説します。利用するメリット・デメリットや利用条件にも触れるため、幼稚園を視野に入れたい方はぜひご参考ください。

幼稚園の預かり保育とは?

「預かり保育」とは、昼に幼稚園が終わった後も、引き続き幼稚園内で夕方まで保育を続けてくれる制度です。最近は、通常の教育時間より長い「預かり保育」を実施している幼稚園が増えてきています。

幼稚園の一般的な預かり時間は4時間(9:00~10:00登園、14:00頃降園)で、夏休みには長期休暇があり、働くパパやママにとっては子供を預けにくいイメージがありますね。

しかし、幼稚園の「預かり保育」制度を利用すると、幼稚園が終わった後や夏休み中も含め、早朝から夕方まで預けることが可能になります。保育園と同様の時間帯に子供を預けることができるため、共働き家庭で仕事と子育ての両立が可能です。

幼稚園の預かり保育利用の条件

幼稚園の預かり保育の利用にあたっては、両親が就労しているかどうかは問われません。両親の私用やリフレッシュ目的など、スポットでの利用が可能となっています。

ただ、最近は親の就労を支援する目的で預かり保育を利用するケースが増えています。8:00~18:00といった、保育園と同様の預かり保育を毎日利用する場合は、就労証明書の提出が必要な幼稚園がほとんどです。

幼稚園の預かり保育の具体例

就労支援目的の預かり保育を導入している幼稚園の一例です。時間や料金は園によって大きく異なりますので、各幼稚園の案内を確認してください。

  • 基本保育時間:7時40分~14時
  • 平日午後:14~18時(1000円/日)
  • 土曜日・夏休み中:時間を問わず3000円/日

毎日預かり保育を利用する場合は、月額で利用料金が定められている園もあります。

幼稚園入園の選考方法は?

教育方針や立地、預かり保育の有無などによって、特定の幼稚園に人気が集中することがあります。「入りたくても、希望する園に入れなかった…」ということも珍しくありません。

入園希望者が定員を超える場合、抽選や面談で決まることもあります。 入園選考方法は各園によって異なるので、入園を希望する園の選考方法は事前に確認しておくことが大切です。

幼稚園の入園選考方法は園によって異なり、以下のような選考方法があります。

①完全抽選

提出した入園願書に対して、抽選によって入園可否が決定します。

②入園願書提出の先着順

入園願書を提出した順番で入園可否が決定します。申請日の前夜から並ぶ家庭も珍しくありません。

③在園児保護者の推薦

現在通園している園児の保護者に推薦書を書いてもらい、願書に添付する方式です。入園選考の加点材料となります。

④ご近所枠

園の近所に住んでいる家庭、バス通園以外で通園できる家庭の優先枠です。

⑤兄弟枠、両親枠

兄弟が在園児、または兄弟や両親が園の卒業生である家庭の優先枠です。

⑥プレ幼稚園(プレ保育)や行事参加

入園前年度のプレ幼稚園を利用していたり、入園説明会・幼稚園行事に参加していたりすると加点される場合があります。なかには入園申し込みの必須要件としている園も存在します。

⑦入園面接

面接で合否を決定する方法です。面接は子供のみ・母親のみ・親子面談と形態は多岐にわたります。

幼稚園の預かり保育を利用するメリット

幼稚園の預かり保育には、保育園にはないメリットが存在します。下記で代表的なメリットを解説します。

充実した教育プログラムを受けられる

幼稚園では「保育」ではなく「教育」を中心に日々の活動内容を組んでいます。平仮名や数字の理解・鉛筆の持ち方・時計の読み方など学習分野はもちろん、体の動かし方・音楽の楽しみ方・手先を使った工作などさまざまなことを教えてもらえるでしょう。体操・書道・音楽・英語・スイミングなど多数の習い事プログラムを用意し、外部のスクールや専門家と協力しながら指導に当たる熱心な幼稚園も多いです。

ただ子どもを預かってもらうだけでなく、充実した教育プログラムを受けさせたいと考える家庭には幼稚園がおすすめです。子ども自身の興味も幅広くなり、さまざまなことにチャレンジできる環境を用意できるでしょう。

学年やクラスが違う子とも遊べる

幼稚園では縦割り教育が実施されるケースがあり、学年やクラスが違う子と遊ぶ機会が生まれます。

特に預かり保育中は合同保育になる園も多く、多彩な交友関係が形成されていくでしょう。年上のお兄さんお姉さんを真似して辛抱強く頑張ったり、年下の子に親切にする優しさが身についたりすることも多いのです。子ども同士のつながりがきっかけで、親の交流が増えることもあります。

遊びながらさまざまな子との関わりを知ってほしいと考えている家庭にこそ、幼稚園の預かり保育がおすすめです。

幼稚園の預かり保育を利用するデメリット

反対に、幼稚園の預かり保育にはデメリットも存在します。知らないまま利用申し込みをしてしまうと、「保育園にしておけばよかった…」と後悔するかもしれません。

代表的なデメリットをまとめました。下記でひとつずつチェックしておきましょう。

預かり保育を利用する子が少ない場合がある

園によっては、預かり保育を利用する子が少ない場合があります。「今日は数人しか預かり保育の子がいない」「毎週水曜日は預かり保育の枠が設けられていない」など、利用に不安を感じる要素もあるため事前に確認しておきましょう。

また、預かり保育の人数が少ないことが原因で子どもが寂しさを感じることもあるようです。「なんで私は預かり保育に行かなきゃいけないの?」「他の子と一緒に帰れなくて寂しい」と言われたとき、親の罪悪感が募ってしまうかもしれません。

園バスが利用できない場合がある

預かり保育は原則として送迎が必須であり、園バスが利用できない場合があります。特に家庭によりお迎え時間がバラつきやすい夕方は、徒歩もしくは自転車などでの送迎が必須となるでしょう。自宅から園が遠い場合、雨や雪の日でも無理なく送迎できるかシミュレーションしておくことが大切です。

また、子ども本人から「お友達と一緒にバスで帰りたい」と言われる可能性もあります。預かり保育の楽しさをしっかり感じさせられそうかも、考えておく必要があるでしょう。

朝の預かり保育をしている園が少ない

幼稚園の預かり保育は、一般的に午後の降園以降に設けられていることが多いです。そのため、朝の預かり保育に対応している園が少ないことを知っておきましょう。出勤が朝早かったり会社までの距離が遠かったりする場合、子どもより親の方が早く家を出ることになりかねません。

少し遅めに出勤するもしくは毎日夫や親戚に対応してもらうなど、対策しなければ幼稚園の預かり保育を利用するのは難しいでしょう。

長期休暇中は預かり時間が変更になりやすい

夏休み・年末年始・ゴールデンウィークなど長期期間中は、預かり保育の時間が変更になることが多いです。平日毎日の預かりに対応してもらえなかったり、いつも以上に開園時間が短く設定されていたりすることがあるため注意しておきましょう。

このような幼稚園の預かり保育を利用する場合、当然親も働き方を変える必要があります。年間を通して無理なく利用できそうか、会社の制度と照らし合わせながら検討していくことが欠かせません。

フルタイムだとお迎えに間に合わない可能性がある

フルタイム勤務をする場合、お迎えに間に合わない可能性があります。何時まで預かり保育をしているかは園によりことなるものの、最も多いのが18時までというパターンでしょう。フルタイムの場合18時退勤の人も多く、最大まで預かってもらったとしてもお迎えに間に合わなくなってしまうのです。

また、時短勤務する場合でもお迎えまでの所要時間は十分に計算しておきましょう。17時に退勤できる場合でも、通勤に1時間近くかかる場合は注意が必要です。

平日日中のイベントやPTA活動に参加できない

幼稚園は、平日日中に開催される保護者参加のイベントやPTA活動が多いことを知っておきましょう。お誕生日会・クリスマス会・七夕会・発表会など、ほとんどのイベントは平日日中におこなわれます。月に数回イベントがあるケースもあり、仕事が休めない場合は保護者参加ナシになることもあるでしょう。子どもが寂しい思いをしないよう、夫や親戚の都合をつけておくなどの配慮が求められます。

また、PTA活動も平日の日中であることが多いです。運動会への差し入れづくり・卒園生への贈り物づくりなど日常的な協力ごとから次期役員の選任など重要な会も多く、全てを欠席するのは難しいでしょう。

自分も幼稚園を運営する一員であるという自覚を持ち、可能な限り協力する姿勢が求められます。

働くママへの理解が低い可能性がある

幼稚園は専業主婦家庭が多く、働くママへの理解が低い可能性があります。ママ友に「どうして毎日そんなに働いているの?」「もう少しPTAに来てくれないと困るんだけど」と言われることもあるでしょう。

また、園の先生から「毎日最後まで残ってしまい寂しそうなので、もう少し早めのお迎えをお願いできませんか?」と頼まれるケースもあります。働きたいママの気持ちと周りからの声や子どもの様子にギャップが出ることも多く、悩みの種となるケースが多いのです。

一方、保育園であれば基本的に共働き家庭の利用を前提としており、先生も保育を第一に考えてくれます。「働くことが当たり前」という雰囲気があるため、利用に際し心苦しい思いをすることが少ないでしょう。

働くママが多い幼稚園も存在しますが、事前に校風をチェックしておくことをおすすめします。

幼稚園の預かり保育を使いやすい働き方

幼稚園の預かり保育を使う場合、それに合った働き方をすることがおすすめです。下記では預かり保育を使いやすい働き方について紹介します。参考にしてみましょう。

時短勤務にする

時短勤務をして、無理なくお迎えに行ける生活サイクルをつくることが大切です。閉園ギリギリのお迎えを基本としていた場合、電車やバスの遅延・道の渋滞・トラブル時の残業があるとお迎えに行くことができません。その日急に依頼できるシッターは少なく、園に大きな迷惑をかけてしまうでしょう。

「いつも最後までお迎えを待たなければいけない」という不安を子どもが抱くなど、親子ともに疲れてしまうことも多いのです。

まずは遅延や少しの残業があっても無理なくお迎えに行けるよう、時短勤務を検討してみましょう。正社員として就労し続けていれば、子どもが大きくなったときフルタイムに戻しやすいこともメリットです。

日によって在宅勤務に切り替える

在宅勤務であれば通勤時間を短縮できるため、日によって在宅勤務に切り替えることを検討してもよいでしょう。朝に幼稚園が始まるまで家にいやすく、送迎に無理が生じません。少し早めに仕事が終わればその場で迎えに行けるなど、フットワークも軽くなります。

夫や親戚と協力しながら在宅勤務ができれば、より預かり保育を利用しやすくなるでしょう。

イベント・PTA活動時には有給を使う

園のイベントやPTA活動があるときは、有給を使って可能な限り参加するのが理想です。子どもの満足感のためにも、保護者同士の関係性をよくするためにも、なるべく仕事を調整できる環境に身を置いた方がよいでしょう。

ただし、園によっては平日の日中にイベントおよびPTA活動が頻繁におこなわれるケースもあります。どれくらいの頻度でイベントがあるか、有給の残日数や取得のペースと照らし合わせながら慎重に判断していきましょう。

まとめ

幼稚園の預かり保育は、充実した教育プログラムや異年齢との合同クラスなどさまざまな魅力があります。しかし保育園より預かり枠が短く、イベントの参加やPTA活動に支障が出るなど仕事との両立に悩むことも多いため注意しておきましょう。

預かり保育を検討しているなら、無理なく働ける会社に転職することがおすすめです。育児との両立ができそうか、入園前に十分シミュレーションしておきましょう。